サバイバルゲームは日本発の素晴らしいカルチャーだ。 エアガンカスタム、装備の収集、ゲーム技術向上、ハマる要素は盛り沢山。 そのなかでも着目したいのは「サバゲーマー=人」。 この連載では色々な「人」をフューチャーし、様々な立場からの視点をふまえて、新しいサバゲーの魅力を伝えていく。
連載第3回:サバゲー出欠管理サービス「HUB-in」開発者
株式会社ブランデザイン星野氏
「みんながサバゲーを楽しむために自分ができること」
サバゲーの魅力に取り付かれ、サバゲーにハマった人の中には、その楽しさを人に伝えようとする人も多くいる。ブログで発信したり、身近なコミュニティの人間をサバゲーに連れて行ったり、それこそ自分のチームを作ってしまったり、初心者も楽しめるような大きなサバゲーイベントを運営したり・・・その方法は様々だ。
そんな人たちが縁の下の力持ち的サービスとして利用している「HUB-in」(http://hubin.link/)。これを開発したのが今回話を伺う星野氏だ。
TOPページからイベント新規作成をクリックして必要事項を入力するだけでイベントページのURLが発行され、あとはそのURLを拡散するだけという本当に簡単なもの。
HUB-in(http://hubin.link/)の概要
2)必要事項を入力して最下部にあるイベント作成ボタンをクリック
3)独自のイベントページURLが発行される。発行されたURLはメールやLINEでの送信もOK。
4)URLへ飛ぶとイベントページができている。あとは参加者に参加するボタンをクリックしてもらい、必要事項が記入されるとほぼリアルタイムで現状の参加者やレンタル数がわかる。
また、回答項目は編集できるので送迎希望やランチの有無なども一括管理可能。もっと詳しい使い方はコチラ
誰でもわかる簡単な操作でサバゲーイベントの出欠やレンタルの管理ができるWEBサービスは口コミでじわじわと利用人数が増えている。見たところ、現状広告も掲載せず「使いやすさ」「見やすさ」に特化したサービスに見受けられる。まずはこのサービスを開発する経緯について星野氏に聞いてみることにする。
ー単純に、サバゲーイベントを立ち上げて、幹事をしている人に感謝しているからでしょうね。人数が多くなればなるほど、幹事さんて大変じゃないですか。もう当日ぎりぎりまで人数が増えたとか減ったとか、レンタルが必要とかやっぱり買ったから減らして欲しいとか。
当日だって幹事さんはお金の計算やら、ゲームの進行やらやる事が沢山ありますから。その上、週末になるとバタバタするのを見てて良い人だな、と。無償でやってくれているのでね。
それからサバゲーイベントの幹事さんが、少しでも楽になればもっと(サバゲーイベントが)やりやすくなって、人も誘いやすくなるんじゃないかって。自分はあまり幹事をやることがないので、余計必要だと思ったんです。
元々、星野氏はUI(コンピュータシステムの情報表示デザインや、ユーザーがデータを入力するときの操作感)を専門に仕事をしてきたそうだが、さすがIT業界と投げかけたところ、IT業界ならではの壁もあったようだ。
ーずっとこういうサービスを作りたいと思っていたんですけど、作ってくれるエンジニアが見つからなくて。なんでかというと、IT業界の人にこういうサービス作りたいんだけど、って話をすると「googleスプレッドシート(エクセルの様なシートを複数人で共有できるサービス)で解決じゃないですか。なんでわざわざこれをつくるのかわからない。」と言われてしまうんですよ。
でも、ユーザー登録もメールアドレスも必要ない、誰でも簡単に使えるものを作りたかった。だって、ITリテラシー(パソコンやインターネットの知識)って必ずしも一定じゃないですから。
IT業界の水準で考えると代替のサービスが溢れている、といったところか。
でもそれを誰でも同じように使いこなすのは確かに敷居がある、と同意する。
SNS(FaceBookやTwitter)にもイベント管理機能はあるが、そのサービスに登録している人しか閲覧できないので、各々のサービス毎にイベントをたてて人数管理をしなければならなかったり、登録していない人には個別に連絡する必要があったり、はたまた複数サービスに登録している人の参加申請をかぶらないようチェックする必要があったりで煩わしい。また、人数のカウントのみでレンタル数やランチの有無などを管理できる機能はもちろんない。
あえて、既存のサービスに頼らず誰でも簡単にとこだわったサービスには星野氏のサバゲーに対する思いも詰まっているように感じる。
星野氏のサバゲー歴は7年と長い。
サバゲーをはじめたきっかけは知人に誘われて、との事だが同じIT業界で働いた経験がある筆者にとっても他人事ではない話が聞けた。
ー昔からTVで見たりして、興味はあったんです。でも皆さんそうだと思うけどどうやってはじめたら良いかわからない。いくらくらいお金がかかるのかも検討付かなかったですし、昔は「俺サバゲーやってるんだよ」ってアピールする人もいなかったので、聞く人もいなかった。
そのうち仕事が忙しくなって、サバゲーの事も忘れていて。
仕事、仕事で休みの日は外に出たくないし、夜は酒のんでぐったりする、みたいな、今考えるとかなり疲れていて、ストレスをうまく発散できない日々が続いていた時があったんですよね。
そんな時に知人が「サバゲー行こうぜ!」って誘ってくれたんです。なんか顔色も悪かったし心配されていたんでしょうね(笑)
その知人は、心身ともに疲れた人をサバゲーに連れて行ったらスッキリしてくれたという経験があったようで(笑)
ストレス解消についてはサバゲーのメリットとしてよく上げられる事項ではあるが、実際、ストレス解消を実感できるものなのか?
ー朝、フィールドに行って、レンタルの迷彩服に着替えて、レンタルのエアガンを試射した時点でストレス解消を感じましたね!思った以上に連射もできるし、気持ちよかった。
あと、ストレス解消の要因としては自然の中で遊ぶ事じゃないでしょうか。でも登山や釣りとは少し違って、サバゲーはただ自然の中で遊ぶだけじゃないんです。
小さい頃、人におもちゃの鉄砲など向けたり撃ったりしたら怒られたじゃないですか。でもサバゲーは「これはやっちゃだめなこと」だった遊びをルールに則って正々堂々とできる。
僕はそこにもストレス解消の要因を感じますね。
たしかに、童心にかえってあの頃できなかったことを大人の判断力、自制心を秘めつつ思いっきりやる、というのは気持ちいいことなのかもしれない。
大人買い、という言葉があるが、サバゲーはメンタル的な部分でそれに通じる部分もあると気づかされる。
改めて、星野氏にサバゲーの魅力についても聞いてみた。
ーサバゲーやってる方って、なんでこんなに礼儀正しいんだろうっていつも思います。
変な事したら退場させられるっていうのはありますけど、それを差し引いても。
フィールドにいって知らない人に話かけてもすぐその場で仲良くなれたりするじゃないですか。
これって通常のシチュエーションじゃありえないですよね。まず知らない人に話しかけないですし(笑)でもフィールドではみんなが気持ちいい対応をしてくれる。例えば、至近距離でヒットされたときに「さっきはすいませんでした、大丈夫ですか?」なんで謝られたり(笑)
サバゲーは、そうやってみんなが不快な思いをせずゲームができるように声を掛け合ったり、ヒットが自己申告制だったり、本当に紳士淑女のゲームだなと思います。
多分、その理由は2つあって、ルールやマナーを守らないと、一歩間違えれば怪我をする可能性があることが1つ。もう1つは、サバゲーって誤解されやすい趣味なのでみんなが(イメージを)守ろうという連帯感があるのかな、と思っています。
ーサバゲーやってるとね、いろんな人脈ができるんですよ。そこも魅力。
例えば、サバゲーで知り合った人と一緒に仕事することになったり、とある会社の代表の方と知り合ってコネクションが広がったり。
しかも、サバゲーが接点だとその場ではかなりフラットな関係が築けるのもいいですよね。普通だったら会う事すらないような偉い人でもタメ口で「いまのはひどいよー!!(笑)」とか軽口をたたけてしまう。
あの独特はフラット感はサバゲーならではですね。サバゲーってその人本来の性格がでるんです、きっと。
一緒にサバゲーやってると仕事しやすいですよ。サバゲーの動きと仕事の動きってリンクするところあります。わかりやすいところを言うと、あの場でリーダーシップとってる人は会社でもリーダーシップとってますからね。
最近、複数のサバゲーマーからサバゲーで人の性格がわかる、というような事を言われた。つまりサバゲーマーはある程度「人」を見ているのか?星野氏にいつ頃からそういった目線を持つようになったのかと問う。
ー最初は全然そんなことなかったですよ。必死でしたし。僕は上手になりたくて、他人の動きを良く見るようにしていたところはあります。上手な人を追いかけて行ったりとか。立ち回りとかそういうものはずいぶん見てきたけどそれが性格や人間性にある程度リンクしている、と気づいたのは何年か経ってからかもしれません。ちなみに、一緒に働くとしたらずる賢い人間がいいです(笑)言い方悪いですけど。トリッキーな感じで動いて結果を出す人、というのでしょうか。真っ向勝負でいって撃たれるよりは相手の裏をかいてフラッグを取りにいく人とか一緒に働きたいなーと思いますね(笑)。
確かに、ある程度のサバゲー経験値が必要というのは頷ける。サバゲーマーがゲームの作戦上どういう意図を持って1つ1つの動きをしているかを見極められないと、性格うんぬんまで読むのは難しいのかもしれない。
一緒に働きたいサバゲーマーの動き方まで想定している星野氏は「人」そのものにも興味があるのだと思う。星野氏が人を見る時、サバゲーは1つの素晴らしいフィルターなのかもしれない。
さて、話を「HUB-in」に戻す。
今後の展望について星野氏に伺った。
ー実はサバゲーの出欠以外でも使って頂いているんですよ。オリジナルパッチの注文数管理とか、サバゲーに行くときの配車手配(電車か車か、ピックアップか)とか、入力の仕方でいろいろ使えるんですね。それは想定してなかったので開発者としてはとても嬉しい。実はBBQの買い出し管理にも便利だって最近いわれて。肉がどのくらい、ビールが何本って各自買い出しや差し入れを入力していくといま現地にある食材の総数がわかるっていう(笑)
きっかけはサバゲーだったけど、いろんな使い方ができるサービスになれればと思います。今後は色々なアイコンを入口につくって、例えばサバゲー用、BBQ用、飲み会用など日程が決まっているイベントに対して、色々な形を出して行くのも面白いかなと思っています。
今も、手をいれなきゃと思っているところはあるし、もっと皆さんが使いやすいようにしていけたらいいなと思っています。
最近はサバゲーに特化したLINEスタンプも制作中です。
サバゲーマーってほんといい人ばかりですよね。
とつぶやいた星野氏。人が好きで、サバゲーが好きだからこそ、自分の労力をつぎ込んでこだわりのサービスを開発したということが伝わってくる。
専門分野を生かして「サバゲーの楽しさを伝える事」を間接的に支える・・・・時代劇の「名乗るほどのものじゃーございません」的でなんとも格好がいい。
幹事が簡単に人数を把握できちゃうサービス
HUB-in(ハブイン)(http://hubin.link/)
SPECIALTHANKS:ハイパー道楽