広告代理店「博報堂」の伝説のクリエイター・小沢正光氏の語録をまとめた書籍『おざわせんせい』(集英社インターナショナル)が非常におもしろかったのでご紹介!
広告業界なんて、ミリタリーと全然関係ないじゃん!
そう思う人もいると思いますが、この語録にまとめられた言葉は、ブートキャンプにたたき込まれた新兵がぶつけられる言葉だったり、過酷な戦場で戦う兵士に上官が投げかける鼓舞する言葉のようなのです。
字面だけ見ると、理不尽かつむちゃくちゃな論法だけど、その言葉の裏にプロの矜持と、部下達への厳しくも大きな愛を感じる言葉の数々なのです。
そんなワケで、さっそく『おざわせんせい』をご紹介しましょう。
「考え方は、3つあるだろう。正しい考え方、間違った考え方。そして俺の考え方だ。」
→思わず、「サー、イエス、サー!」と言いたくなる発言。
「言葉で殺されたいか? それとも、拳で殺されたいのか?」
→甘えた気持ちなんか消え失せる鼓舞ww 部下は大変だ…。
「俺への返事は、大きい「ハイ!」か小さい「ハイ……」だけだ!」
→おざわせんせい、絶対に戦争映画好きですねww。
この3つの例だと、誤解を生みそうですが、妻を亡くして落ち込んでいた部下に対して、
「お前には仕事があるだろう!」
と山のような仕事を割り振ったという、無骨な優しさを感じさせるエピソードも。
また、元部下が会議中に倒れたと聞くと、その部下に電話をし、
「バカヤロー、俺より先に倒れるんじゃねえ。」
と強烈な叱咤激励。
ぶれない鬼教官キャラ素敵です(汗)。
そんな感じで、語録だけ見ていると、理不尽きわまりないと取れなくもないのですが、本書では、語録の横に補足された部下やかつて仕事をした人たちの愛ある解説があるので、それを読んでいくと「おざわせんせい」の言葉の真意が浮かびあがってきます。
同時に、仕事は主体的にやるもんだ!という「おざわせんせい」のイズムのようなものが学べて、漫然と受け身な仕事をしていちゃいけないなぁという気にさせられます。
「半沢直樹」が世のサラリーマンに「痛快さ」と「仕事への矜持」を再認識させてくれる作品なら、この『おざわせんせい』もまたリアルな「痛快さ」と仕事に取り組む姿勢を社会人に突きつけてくる1冊です。
また、日本屈指の広告代理店のクリエイターの方々が携わっている本だけあり、語録のチョイスも見事ですし、解説もきちんと身になる形に翻訳してくれています。
そして、エンタメかと思って読んでいたのに、気が付けばビジネス書的な「何か」が得られた気になります(モノにできるかは自分次第ですが…)。
ちなみにこの本は、元々は博報堂の社内用に出版した「ことばせんせい(先達クリエイターの名言集)」の中から、小沢正光さんの言葉を抽出した特別編とのことです。
華やかでスマートなエリートのイメージがある広告マンの、泥臭く、体育会系な一面を垣間見られますし、クリエイティブな現場って戦場なんだよなぁと思わせる凄みが伝わる良著です。
と、もっともらしいことを書きましたが、「おざわせんせい」の語録が本当に、どこかの鬼教官の言葉のようであまりにもおもしろかったので、紹介させていただきましたww。
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