フォークランド紛争から40年が経つ今でもプラモデルが発売されるなどで話題になっているのが、イギリス海軍の航空母艦インヴィンシブルだ。
・インヴィンシブルとは
インヴィンシブルは、イギリス海軍の航空母艦で、その中でも小型の軽空母に分類される艦船だ。
インヴィンシブルはネームドシップで、インヴィンシブル級航空母艦の1番艦だ。
特徴は、やはり史上初のスキージャンプ式甲板によるSTOVL運用の導入だろう。
・STOVL運用をスキージャンプ式甲板で実現
インヴィンシブルの艦載機は、主にホーカー・シドレー社のBAe シーハリアーだ。
シーハリアーは、少ない滑走距離で推力を確保できる、固定翼の垂直離着陸戦闘機だ。
垂直離着が出来る固定翼機といえば、現在で有名なのは、可変翼構造のオスプレイだろうか。
シーハリアーは、オスプレイのご先祖様なのかもしれない。
シーハリアーの場合、完全には垂直離着陸は出来ないので、厳密には短距離離着陸戦闘機といべきだろう。
1970年代当時、英国政府は財政破綻状態に陥り、コストのかかる大型空母の維持が難しくなっていた。
そんな中、大型の航空母艦である「アーク・ロイヤル」や「ヴィクトリアス」の代わりとなる、新しい航空母艦の登場が望まれた。
そこで生まれたのが、インヴィンシブルとシーハリアーだったのだ。
・お互いに補い合うインヴィンシブルとシーハリアー
インヴィンシブルは、元々はヘリ空母として設計された艦船だ。
そのインヴィンシブルが、大型空母の代替として、軽空母として運用されることとなったが、大型の艦載機を搭載することは難しかった。
そこで白羽の矢が立ったのがハリアーだった。
ハリアーは小型の戦闘機で、垂直離着陸機として開発された。
軽空母のインヴィンシブルにはぴったりマッチする。
とはいえ、ハリアーは短距離の滑走を行うことで搭載量を増やせる性能をしていたため、発艦には、結局、カタパルトが必要だと考えられていた。
そして、登場したのが、軽空母で短距離の滑走を可能にするスキージャンプ式の甲板だ。
スキージャンプ式甲板の目的は、スキージャンプ台の滑らかな曲線の坂を通過することで、水平に滑走したときよりも高い高度まで機体を押し上げることができるとうものだった。
結果、その狙い通り、シーハリアーは従来よりも大きな揚力を得ることができるようになった。
実践投入されたインヴィンシブルとシーハリアーは、フォークランド紛争の際、アルゼンチン軍の戦闘機を21機撃墜、対空戦闘での損害無しと、大いに活躍したのだった。
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