人類は、太古の昔から争いを繰り返してきた。
そして、その中で様々な兵器を生み出してきた。
原子爆弾やクラスター爆弾、バイオ兵器など、凶悪な兵器も多く存在する。
しかし、多くの失敗作も存在しているようだ。
失敗兵器の代表といえば、パンジャンドラムだろう。
・パンジャンドラムとは
パンジャンドラムは最も有名な失敗兵器と言っても過言では無いのではないだろうか。
裁縫で使うボビンのような形状が特徴的なパンジャンドラム。
自走爆雷というコンセプトで開発されたパンジャンドラムだが、結果は失敗に終わった。
パンジャンドラムは、このボビンのような車輪に、推進用のロケットモーター。
そして、1000キロ以上の爆薬を搭載して、発射させるという兵器だ。
全長は3メートルと、そこそこ巨大で、遠くから迫ってくると威圧感はありそうだ。
また、爆薬の量も多く、命中すれば多大な損失を与えられそうだ。
・パンジャンドラムの開発経緯
パンジャンドラムは、第二次世界大戦のノルマンディー上陸作戦のために開発された。
イギリスには、フランスのノルマンディー海岸に上陸する計画があった。
そのノルマンディー海岸は、コンクリートの防御壁で補強されていたり、多数の大砲があり、要塞化されていたという。
ここを突破するための「自走爆雷」を作ろうという経緯で、パンジャンドラムは開発開始された。
・パンジャンドラムは何故失敗した?
しかし、このパンジャンドラムは失敗兵器だった。
何故、失敗したのだろうか。
原因は、その推進方法にある。
ロケットモーターが付いているといっても、本体は、ただ転がるだけだったのだ。
転がるだけでは、岩場等、凸凹の激しい所では、直進することは不可能だ。
方向が定まらず、ターゲットに当てることは至難の業となってしまった。
更に、ボビンのような形状なので、横に倒れると終わりだ。
そのため、使用するには、あらかじめ工兵が地形を慣らす必要があった。
また、実戦投入される予定だったノルマンディー海岸の砂浜にも適応できる代物ではなかった。
砂浜はサラサラで、車輪が回るには不適切だったのだ。
雨でグシャグシャになってしまった泥に足を取られて、タイヤが空回りしてしまう。
という状況は、自動車を運転する人であれば、経験があるかもしれないが、まさにそれだ。
ノルマンディーの要塞化された海岸を破壊するための兵器だったパンジャンドラムは、その海岸での運用が向いていないため、開発中止となった。
結果、ノルマンディー上陸作戦は成功することになるが、イギリスを含む連合軍も被害も大きなものとなってしまったのであった。