ヒト・モノ・カネ・情報の「新たな奔流」が世界を変えていく。
人の群れに交じり30000キロを踏破、600人の叫びを積み上げ「新世界」を可視化する第一級の現場報告。
初の単著『エクソダス アメリカ国境の狂気と祈り』で講談社本田靖春ノンフィクション賞(第43回)を受賞したジャーナリスト・村山祐介氏の受賞第一作『移民・難民たちの新世界地図 ――ウクライナ発「地殻変動」一〇〇〇日の記録』が7月18日、新潮社より刊行されました。
■目次
まえがき
プロローグ
第1章 森に放たれた兵器たち ポーランド、ベラルーシ国境
「移民」になったジャーナリスト/移民と難民、避難民/謎の新ルート/森の人/人間ピンポン/氷点下の森の赤ちゃん/一二〇〇ドルのビザ/兵器としての移民/ひそかな移民国家/ヘイト攻撃/前哨戦
第2章 密航の海 イタリア、地中海リビア沖
世界で最も危険なルート/救助準備/天使からタクシーへ/白と黒の塊/暗闇に沈みゆく船/途方もない一七分間/追いはぎの国/ゲームという名の密航/コード・レッド/タラップの向こう
第3章 脱出の足跡 オランダ、ドイツ、ポーランド、ウクライナ
戦時下の新ルート/トラック野郎の町/ダブルスタンダード/子どもだらけの避難民/言葉を探すリリア/銃後の砦/暗闇夜行列車
第4章 死の通り ウクライナ北部ブチャ
落とされた橋/集団墓地/消滅した集合住宅の下で/包囲下の命綱/死の通り/地下壕の人質/声の主/遺体を食う犬/浄化と呼ぶロシア兵
第5章 裏表の空間 モルドバ、ウクライナ
祝えなかったイースター/未承認国家/秘密警察の肖像/親ロ派に映る世界/「ロシアの世界」の磁力/ZとQ/
偽情報ワクチン/潜んでいた足音/見えざる声/ひっくり返った少年/死臭の松林/拷問部屋
第6章 家の匂い 日本、オランダ、ドイツ、ポーランド、ウクライナ
それぞれのところ/消えた吃音/M -1に挑んだ画家/月曜デモの復活/息切れした善意/爆弾が降る村/戦場の洗礼/放課後のたまり場/家の匂い/神父の告白/抵抗のゴーストタウン
第7章 鉄の船 イタリア、チュニジア
絶景と絶命の島/鉄の船/ホットスポット/切り離された世界/暗闇の怨嗟/密航者たちの大義/海が嫌いになった漁師/大統領のヘイトスピーチ/安・近・短・死
第8章 踏み絵の国 ジョージア
ウクライナ色の街/重ならないシュプレヒコール/パラレルワールド/同胞ビジネス/悲しみの嫌悪感/ひずんだ特需/揺らぐ居場所
第9章 ジレンマの大陸 ドイツ、ポーランド、ウクライナ、ルーマニア
新たな戦争/移民放逐計画/怒りの農民一揆/兵役回避の巣ごもり/男たちの選択/編み込んだ願い/厳寒の川と雪山を越えて
エピローグ
あとがき
主な参考文献
村山祐介YouTubeチャンネル「クロスボーダーリポート」関連動画
■無料配信情報
本書より「まえがき」「目次」「プロローグ」「第一章 森に放たれた兵器たち―ポーランド、ベラルーシ国境」「第二章 密航の海―イタリア、地中海リビア沖」までを特別無料配信中。
URLはこちら↓
https://ebook.shinchosha.co.jp/book/E060521/
*本稿は校了前のデータをもとに作成しています。そのため、刊本とは一部内容が異なる場合がございます。予めご了承ください。
■著者コメント
この本は、フリージャーナリストになった私がオランダに拠点を移してから1000日間の取材のすべてです。
2022年2月のロシア軍によるウクライナ侵攻でポスト冷戦時代の秩序が崩れる地殻変動が起き、ヒト・モノ・カネ・情報の巨大な“奔流”が始まりました。
地図になかった国境越えのルートが次々と開きました。
その流れはどこから来て、どこに行こうとしているのか――私はウクライナへ、そしてそれを取り巻く欧州の国々、地中海、北アフリカへ、総移動距離30000キロの取材の旅を重ねました。
「兵器」にされた移民・難民がさまよう氷点下の森。遺体だらけのウクライナ・ブチャの「死の通り」。
「鉄の船」が漂う暗闇の地中海。偽情報があふれるSNS、真逆の情報に満ちた未承認国家……。
新たに生まれたルートとその周縁には、無数の遺体と名もなき墓があふれていました。
逃げるか、とどまるか、戻るか。
この本に記したのは、私が取材で向き合った約六〇〇人の言葉であり、彼ら・彼女たちの命がけの選択です。
それは、世界のほとんどの国にビザなしで入れるパスポートを持ち、国境を越えなくても生きていける自由と安全を享受する日本の私たちに託されたメッセージと思っています。
■書籍内容紹介
ヒト・モノ・カネ・情報の「新たな奔流」が世界を変えていく。
衝撃のルポ。
厳寒の森に「移民兵器」として放たれるクルド人家族、鉄の棺桶のような船で地中海に漕ぎ出すアフリカの人びと、徴兵を逃れて雪の山に消えるウクライナの青年たち……。
秩序が崩れ落ちる欧州に出現した〝パラレルワールド〟を往還しながら、圧倒的な取材力で「新世界」のリアルを可視化する第一級の現場報告。
■著者紹介
村山祐介(むらやま・ゆうすけ)
ジャーナリスト。1971年東京都生まれ。立教大学法学部卒。
1995年に三菱商事、2001年に朝日新聞社に入社。
ワシントン特派員としてアメリカ外交、ドバイ支局長として中東情勢を取材し、国内では政権や経済を主に担当した。
2020年に退社してフリーに。
21年からオランダ・ハーグを拠点に国境を越える動きを追う「クロスボーダー」をテーマに取材し、マスメディアや自身のYouTubeチャンネル「クロスボーダーリポート」などで発信している。
アメリカ大陸を舞台にした移民・難民を追った取材で2018年にATP賞テレビグランプリ・ドキュメンタリー部門奨励賞、2019 年度にボーン・上田記念国際記者賞、2021年にノンフィクション書籍『エクソダス アメリカ国境の狂気と祈り』(新潮社)で講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞した。
■書籍データ
【タイトル】移民・難民たちの新世界地図 ――ウクライナ発「地殻変動」一〇〇〇日の記録
【著者名】村山祐介
【発売日】2024年7月18日
【造本】四六判
【定価】2,200円(税込)
【ISBN】978-4-10-353652-9
【URL】https://www.shinchosha.co.jp/book/353652/
引用元:PR TIMES
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001561.000047877.html