『自衛隊員が決められた日にカレーを食べる』というのはテレビのバラエティーや情報番組、あるいはドラマなどでご存知のかたも多いのではないでしょうか。
ですが何故決まった日に食べるのか、等々深く疑問に思ったかたは少数派かもしれません。
なぜこのような決まった曜日にカレーを食べるといったことが習慣化されたのでしょうか。
自衛隊が金曜日にカレーを食べるのは本当?
海上自衛隊では、毎週金曜日にカレーを食べるのが習慣になっています。
これは本当です。
ちなみに陸上自衛隊でも週に1度はカレーを食べるようですが、駐屯地によって曜日は異なります。
自衛隊が金曜日にカレーを食べるようになった理由として、間違った説もいくつか出回っています。
・曜日感覚を忘れないようにする為?
洋上で長期間生活すると隊員は曜日感覚を忘れてしまうため、海上自衛隊では週末にカレーを出して曜日感覚を失わないようにしたという説が有名です。
しかし、そもそも航海のプロが曜日感覚を失うなどあってはならない事です。
この説は自衛隊で週末にカレーを食べる習慣が出来てから、後付けで説明されるようになったとされています。
・旧海軍時代からの伝統である?
旧海軍時代にカレーが食事のメニューに登場するようになった事は確かですが、毎週決まった曜日に食べていたという記録は、実は存在しません。
また、当時はカレー粉から作らなければならない比較的難易度の高い料理であった事から、毎週頻繁に作られていたとは考えにくいですね。
海軍カレーの由来
昭和後期から平成にかけて、多くの国内企業が週休2日制を導入するようになり、海上自衛隊でも土日を休みにする部署が増えてきました。
そこで、週末に提供される事の多かったカレーが金曜日に出されるようになったのです。
また、旧帝国海軍においては食事が白米中心であったため栄養が偏り、脚気が流行しました。
当時の帝国海軍はイギリス海軍を模範としていました。
イギリス流のカレーシチューを真似しつつ、白米によく絡むように小麦粉でとろみを付ける、というアレンジを加え、海軍カレーが誕生したのです。
当時のカレーレシピ
1908年(明治41年)の『海軍割烹術参考書』にカレーの作り方が掲載されています。
『海軍割烹術参考書』によると材料は以下の通り。
・牛肉、または鶏肉
・人参
・玉葱
・馬鈴薯(ジャガイモ)
・塩
・カレー粉
・小麦粉
・牛脂(ヘッド)
作り方の意訳としましては
1 米を研ぐ
2 肉、玉葱や人参、馬鈴薯を賽の目に切る。軽く炒めて、火を通す
3 牛脂を敷いたフライパンで小麦粉を炒める。きつね色になったらカレー粉を加え、スープを加える
4 2の肉や野菜を3に加え、弱火で煮込む
5 スープで米を炊く
6 4で煮込んだものに塩を加え、味を整える
7 米とカレーを皿に盛り、チャツネなどの漬け物を添えれば完成
チャツネとは、野菜や果物に香辛料を加えて煮込んだ、ソース、またはペースト状の調味料です。
日本ではあまり一般的ではない為、福神漬けが代用されました。
カレーライスの調理法を初めて日本に紹介したのは1872年(明治5年)出版の『西洋料理指南』という本で、明治初期のカレーライスは高級な西洋料理の位置付けで、限られた少数のレストランでしか口に出来ませんでした。
レトルト海軍カレー
『料理は苦手! でも自衛隊カレーを食べた気分になりたい!』というかたには、レトルトも販売されているので、お試しください。
以上、自衛隊とカレーの関係についてご紹介させて頂きました。
元はインド料理ではありますが、実質的に別物として発展してきた日本のカレーライス。
自衛隊員ではなくても、定期的に食べたくなる、一種の和食とも言える料理ですね。
毎週金曜日はカレーの日にするのも楽しいかもしれません。
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