イスラエル諜報特務庁、通称「モサド」。
フィクションやニュースで名前くらいはご存じかもしれません。
しかし、その多くは謎に包まれています。
モサドの概要
モサドはイスラエル建国の翌年にあたる1949年、前身組織が創設されました。
その活動を規定する根拠法がなく、ゆえに非合法的な活動もできると解釈されてきており、長官の氏名さえ、長く伏せられてきました。
公表されるようになったのは、1996年の頃です。
今ではモサドの公式ホームページに、歴代の長官の顔写真や名前、2016年1月から12代目の長官を務めるヨシ・コーヘン氏の顔写真や略歴が紹介されています。
その活動内容は『当然ながら、公の目には触れない』と書かれていますが、情報収集の手段としては人的情報活動と電子情報収集を行っている」と説明されています。
モサドのモットー
モサドが他国の情報機関との関係を築き、中にはイスラエルとの関係を公にしたくない国と水面下で関係を作ることにも関与してきた、とホームページにあります。
モサドのモットーとして、聖書から次の言葉を紹介しています。
『導かなければ民は滅びる』
モサドの要員数は1500~2000人とされ、アメリカCIAの10分の1、イギリスのMI6とほぼ同等と見られております。
長官は首相直轄に位置づけられ、首相はモサドの全活動に責任を負っています。
この為、モサド長官は首相が知るべきと判断した情報をすべて首相に直接報告しているのです。
モサドの主要任務について
1・主に敵国に関する情報収集
2・敵国の攻撃を阻止するための秘密作戦
3・世界中のユダヤ人コミュニティーやイスラエル人への攻撃を防ぐ事、とされています。
一つの象徴的な事件が、2007年9月に起きたイスラエル軍によるシリアの原子炉空爆でした。
イスラエルは1981年6月に、イラクの首都バグダッド近郊で、核開発が疑われていたオシラク原子炉を戦闘機で攻撃して破壊しました。
イスラエルは自ら核保有を確実視されていながら、敵国が核濃縮施設や最新鋭の兵器を取得するのを止める為には先制攻撃も辞さない、という考え方を持っているようです。
一方で、2018年5月29日、ガザ地区からイスラエル南部に向けて数十発以上のロケット弾や迫撃砲弾が発射されました。
イスラエル軍はガザを実効支配するイスラム組織ハマスの関連施設などに大規模な報復空爆を続けていました。
双方の攻撃の応酬はその後も断続的に行われています。
https://www.mossad.gov.il/heb/history/Pages/default.aspx
元職員いわく、
「イスラエルは大洋に囲まれたアメリカとは違う。周りを敵に囲まれ、いつも何かが起きる環境にいる。情報機関にいる人間は、人々が平和な生活を続けられるようにもっと何か出来ないかという衝動に常にかられる。こうして静かに暮らせている事自体が奇跡のようなものなんだよ」
と語っています。
国家が生き残る為に、死活的に重要な役割を果たして来たとされるモサド。
その活動は未だ謎に包まれていますが、要人暗殺など一線を越えた作戦が明らかになる度に、波紋を広げて来ました。
守るべきものの為に何をどこまですべきなのか。
我々日本人も考えなくてはならない命題と言えるでしょうね。
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