アメリカが誇る最強戦闘機と言われるF-22ラプター。
この戦闘機を超える機体は存在するのでしょうか。
しかしながら、まずはF-22ラプターをご存知ない方もいらっしゃると思いますので、F-22ラプターについて、ご説明します。
F-22 (戦闘機)
F-22は、ロッキード・マーティン社とボーイング社が共同開発したレーダーや赤外線探知装置などからの隠密性が極めて高いステルス戦闘機です。
愛称は猛禽類の意味のラプターです。
第5世代ジェット戦闘機に分類される世界初のステルス戦闘機であり、ミサイルや爆弾の胴体内搭載などによるステルス特性や、ミリタリー推力での超音速巡航(スーパークルーズ)能力が特徴となっております。
そのステルス性の高さなどから、世界最高クラスの戦闘能力を持つと評する人も多いでしょう。
でも、本当にラプターが世界最強の戦闘機なのでしょうか。
戦闘機の性能について
ミサイルの搭載量や航続距離、速度、加速力、上昇力、旋回性能、電子機器など、時代や用途、国によって求められる能力が大きく異なりますから、比較基準は様々であり、どれが最強であるとは一概に言うことはできません。
ゆえにあらゆる候補機がそれなりの説得力を持ち得ます。
一例として、ラプターはドイツ空軍のユーロファイター タイフーンにレッドフラッグにおいて2012年、敗北しています。
レッドフラッグ
レッドフラッグとは1975年以降、アメリカ合衆国ネバダ州のネリス空軍基地、またはアラスカ州のイールソン空軍基地とエルメンドルフ・リチャードソン統合基地で毎年数回開催されている高度な空戦軍事演習のことです。
演習では、主に戦闘機による電子戦、攻撃、防空、制空権の能力が試されます。
演習の中には、爆撃などの対地模擬攻撃での実弾の使用や、空中給油、空輸、偵察なども含まれております。
そのレッドフラッグに、ラプターはユーロファイター タイフーンに敗北しているのです。
ユーロファイター タイフーン
ユーロファイター タイフーンとは、NATO加盟国のうちイギリス、ドイツ(計画開始当時は西ドイツ)、イタリア、スペインのヨーロッパ4ヶ国が共同開発した戦闘機でありデルタ翼とコックピット前方にカナード(前翼)を備え、カナードデルタと呼ばれる形式の機体構成をもつマルチロール機(装備を変更することで制空戦闘、各種攻撃任務、偵察などの任務を実施できる戦闘機)です。
一方で、ラプターを凌ぐ戦闘機としてF-106「デルタダート」を推す声も少なくありません。
F-106
F-106はよほどの航空マニアでないと名前すら聞いたことが無いかもしれません。
F-106はアメリカ空軍のみが採用、その主要任務は防空管制システムと一体となり地上から自動操縦指令を受けて飛行、冷戦期を通じアメリカ本土を守ることにありました。
1988(昭和63)年の退役から今年で34年を迎えた過去の機種ではあるものの、現代のラプターやF-35さえ上回っていたと断言できる最強の能力を持っていました。
F-106が最強たるゆえんは、その主力搭載兵装であるAIR-2「ジーニー」空対空ロケットにあります。
F-106のAIR-2は誘導装置を持っていないため、「空対空ロケット」ではあっても「空対空ミサイル」とは言えません。
しかし空対空攻撃用の兵装としては破格の、実に爆薬150万kg相当の弾頭が内蔵されていました。
この桁違いなAIR-2の高威力。
つまりAIR-2の弾頭は「核」です。
F-106はこのAIR-2を積んで実戦配備されていたという点において、まさに最強の戦闘機といえる存在でした。
AIR-2は発射後、時限信管によって最大12秒内に起爆。
爆心地から直径600mの航空機を完全に破壊する威力を持ち、また電磁パルス(EMP)はさらに広範囲の電子機器を破壊すると推定されています。
また無誘導であるという事実は「妨害されない」メリットをもたらし、任務の確実性を向上させました。
核兵器を搭載できる戦闘機は決して珍しくありません。
しかしながら空対空任務で核兵器を使うことを想定したF-106は稀有な存在だと言えるでしょう。
今後F-106に匹敵しうる最強戦闘機が登場しないことを心から願いたいものですね。
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