2022年4月14日、フジミ模型より、プラモデル「1/350 艦NX2EX-1 日本海軍駆逐艦 島風 竣工時 特別仕様(エッチングパーツ付き)」が発売された。
このプラモデルの島風は、増設された機銃や13号電探が未装備の、竣工時 特別仕様となっている。
一風変わったシチュエーションの再現なのが面白い商品だ。
この記事では、実物の島風は、どういった艦船だったのかを見ていこう。
・とにかく速力重視の駆逐艦
島風は、大日本帝国海軍の駆逐艦だ。
水雷決戦を想定した最高峰の駆逐艦を目指して作られた島風は、速力に注視して開発された。
仮想的である、アメリカ海軍の新型駆逐艦が、38ノット以上の速力を目指しているからだ。
また、仮想敵としては、アメリカ海軍の新世代戦艦、アイオワ級やノースカロライナ級等の高速戦艦も含まれた。
それ以外にも、遠距離から酸素魚雷を発射するという奇襲戦法を想定して開発された経緯がある。
そのため、とにかく速力を重視して設計、開発されたのだ。
・規格外の速力で、火力も燃費も良し
では、島風の速力は、実際にはどのくらいのものだったのだろうか。
公試の記録では、4月7日の過負荷全力公試で排水量2,894トン、出力79,240馬力において40.90ノットとされている。
ただし、この時の排水量は通常の公試の際の2/3状態でなく、より軽い1/2状態だった。
通常は、燃料・弾薬・食糧・真水などの消耗品を、定数の2/3を搭載して計測するのだが、40.9ノットを出した時の公試では、定数の1/2だけだった。
とはいえ、40ノットといえば、魚雷と同等のスピードである。
その速力が、当時の最高峰であることに変わりはなく、その上、武装の面においても、五連装魚雷発射管3基、15射線と、重雷装である。
更に、ボイラーであるロ号艦本式缶も、当時最新のもので、高出力と低燃費を両立したものだった。
・同型艦無しの高性能機
当時最高峰のスピードを持ち、重雷装の駆逐艦で火力もあり、更に燃費も良い。
これだけ高性能な艦船であったが、生産の難しさや、水雷戦自体の可能性の低さ、酸素魚雷の運用の難しさ等の理由で、量産計画は放棄された。
1944年11月11日、レイテ島北西オルモック湾にて撃沈されるが、2017年12月に、同じくオルモック湾にて島風の残骸が発見された。
同型艦が無い唯一の艦、当時としては速力だけでなく、火力や燃費も破格の高性能艦船と、島風は非常にロマンがある艦船だ。
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