現代のミリタリー装備はコーデュラナイロンなどの化学繊維が主流ですが、かつては布や革が一般的。特に耐久性の高い皮革はベルトやスリングなど力のかかるものに多用されていました。
ただ、いくら丈夫な革でも年月が経過すると劣化してヒビ割れたりボロボロになります・・・が、メンテナンス次第でその寿命を大幅に延ばすことは可能。
そこで今回は装備品の基本ともいえるベルトを中心に、レザー製品の日常メンテを紹介します。
講師は丸正の西牧さん。
日常使いのベルトはもちろん、貴重なビンテージ装備品のレストアにもぜひ参考にどうぞ。
今回のサンプルは厚手の牛革製。ミリタリー装備ではなくシンプルなファッションベルトです。
当初はガビガビに劣化したWW2当時のベルトを用意しようと考えていたのですが、ちょうどよいものが見当たらず市販品を使って解説しますね。
まずは「から拭き」で汚れを取りましょう。
染み込んだ汚れでなければ、これでだいたい落ちるはずです。
次にレザー用のオイル(クリーム)を塗ります。
革靴用でも革ジャン用でも中身はほぼ同じ。ミンクオイルなどの保湿や栄養を与える成分で構成されており、革に栄養を与える→柔らかくなる→しなやかになって長持ちする!という理屈になります。
このクリームを布に取って・・・
スーッと薄く塗り伸ばしていきます。
こすって摩擦熱で溶かして染み込ませましょう。
ただ、付け過ぎるとステッチ(縫い目)の部分に詰まってしまいます。これはカビの原因になるため、ステッチが埋まるくらいにベタベタ塗るのはダメ。
このベルトの裏地はバックスキン調でした。この面はあえてクリームを塗り込まなくてもいいそうです。
理由はクリームを吸い込みすぎてしまうのと、ここに油分が残っているとパンツが汚れてしまうから。
そこで使いたいのが防水スプレーです。
テフロン系でもシリコン系でも構いません。
これをシュー!と裏面と表面それぞれにスプレーします。
けっこう飛び散るので新聞紙などを敷いてから吹きましょう!
そしてみるみる乾燥するので表面が白っぽくなったら・・・
ウエスで拭き上げましょう。
防水皮膜はこすったくらいじゃなくならないので、擦り込んで慣らしていくイメージで。
表面は汚れ防止に、裏面は汗の吸い込みを抑える効果が期待できます。
これでレザーベルトのメンテナンスは完了ですが、毎回着用するたびにここまでやる必要はありません。最低限やるべきことは、「着用後はパンツに付けたままにしない」「サッとから拭き」でOK。
上記のクリームを使うメンテナンスは、思い出した頃にやるくらいでいいそうですが、それよりも意識しておきたいのが保管方法。
ベルトはバックルの部分からぶら下げておきましょう(パンツに付けっぱなしは一番ダメ!)。
今回紹介したメンテを新品の時からやっておけば革製品の寿命は大幅に延びます。
また、何かの拍子に入手した古い革製の実物装備品もしっかりクリームを塗ってあげると、硬く乾燥したりヒビ割れたり切れたりといったトラブルを避けられるかもしれません。
ベルトだけでなくポーチやブーツなど革製品のメンテナンスは基本的に変わらないので、ぜひお気に入りの革製品を長く使えるよう手を入れてみてはいかがでしょうか。
取材協力:丸正
※皮革の素材やクリーム(オイル)の成分によっては、ベルトに塗り込むと革の染料が色落ちしてパンツに色移りする場合があります。あらかじめ目立たない部分でテストしてからの作業をオススメします。
※本記事は過去記事の内容を基に校正しています (2018.03)
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