マンハント Manhunt
<作品DATA>
監督:ジョン・ウー
出演:チャン・ハンユー、福山雅治、チー・ウェイ、ハ・ジウォン、國村 隼、桜庭ななみ、竹中直人、倉田保昭
原作:西村寿行『君よ憤怒の河を渉れ』(徳間書店)
2017年/中国映画/原題『追捕 Manhunt』/1時間50分
配給:ギャガ
<公式サイト>
http://gaga.ne.jp/manhunt/
2月9日(金)全国公開
<STORY>
大企業・天神製薬の顧問弁護士として数年掛かりの裁判を勝訴で終えたドゥ・チウ(チャン・ハンユー)だが、パーティの翌朝ベッドで目を醒ますと、社長秘書・希子(TAO)の刺殺死体が横たわっていた。現場からは指紋がついたナイフが発見されドゥ・チウは被疑者として連行されかけるが、何者かに嵌められた事に気付き現場から逃走する。ドゥ・チウの追跡と逮捕を命じられたのは大阪府警の敏腕刑事・矢村(福山雅治)と、配属されたばかりの新人・里香(桜庭ななみ)だった。
独自の捜査を行う2人はやがて、監視カメラの映像から謎の美女・真由美(チー・ウェイ)を発見する。3年前に変死した彼女の婚約者は天神製薬の研究員だった。次々と警察の追跡をかわすドゥ・チウ。そして彼を追う中で様々な捜査妨害を受ける矢村は、ドゥ・チウが無実である事、背後に大きな陰謀が隠されている事を確信する。
©2017 Media Asia Film International Ltd. All rights Reserved
原作は1974年に刊行された西村寿行原作のサスペンス小説『君よ憤怒の河を渉れ』(徳間書店)。さらにこの作品は1976年に佐藤純弥・監督、高倉健・主演により角川で映画化され、1979年には『追捕』のタイトルで文化大革命後初の外国映画として中国でも公開され、観客動員数8億人を超えるメガヒットを樹立した。今でも中国では史上最高の日本映画はこの『追補』であり、日本を代表する俳優といえば高倉健さん、そして日本の歌といえば『北国の春』(これは本作とは関係ないが・・・・・・)なのだそうだ。
そんな、中国人にも日本人にも愛されている物語を、今回はあのジョン・ウー監督が、2挺拳銃横っ飛び連射あり、白い鳩の乱舞あり、美女の振り返り&流し目スローモーションあり・・・の、ファンの間では「ウー節」と呼ばれるケレン味溢れるアクションと濃厚な映像美のつるべ打ちで、まさに「振り切った」映画に仕上げてくれた。
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手錠のままの逃亡&追跡。そして美女も絡んで・・・・・・というベタな展開すら心地よくさせる「ウー節」マジック。そこに福山雅治ほか、日本を代表する豪華な俳優陣が加わっているのが単純に嬉しかった。
‘76年版で高倉健が演じた「無実の罪で終われる検事」は「弁護士」に改められ、中国の実力派チャン・ハンユーがギラギラな眼ヂカラで熱演! いっぽう原田芳雄が演じた猟犬のような刑事役は、福山雅治になってグッとクールにスタイリッシュに変貌。沈思黙考するシーンはドラマ「ガリレオ」の湯川教授をややパロっているようでもあり、彼のファンはきっと喜ぶだろう。拳銃だけでなく、素手や日本刀まで駆使して繰り広げられる両者の火花散るアクションも非常に見応えがあった。
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音楽は名匠:岩代太郎さんだが、いつもの作風とはかなり異なり、敢えてそうした、と思える確信犯的な’70年代テイストのサウンドが妙に耳に残る。冒頭からかなり大胆な選曲で呆気にとられてしまった。思えば健さん主演の’76年版も音楽がとてもユニークかつ前衛的な作品だった。
主要キャラクターが発砲する拳銃が徹頭徹尾ベレッタ(M92もしくはM84)だったのも興味深い。このあたりもウー節炸裂である。ただし福山雅治演じる矢村刑事はじめ、日本の警察官はみんなキッチリS&W M37エアウェイトを装備。スクリーンにハッキリ大写しになったのにはちょっと感動。
撮影は大阪でも大々的に敢行されたそうで、もしかしたら日本でのロケでは各社トイガンが活躍した可能性が高い。
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大阪で撮影された刑事モノ、といえば、『ブラックレイン』(1989年)もまた忘れ難い。その作品で松田優作演じる「サトー」の子分「ヨシモト」を演じた國村隼が、本作では重厚な悪役を怪演。
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そして、カンフー映画全盛期に日本と中国、両映画界の橋渡しとなる大活躍をされたアクションの大御所・倉田保昭さんが、ドゥ・チウを助けるホームレスの役でとても良い味を出していた。本作では素晴らしい格闘シーンもキッチリ魅せてくれる。
かなり以前になるがCOMBATマガジンでインタビューさせて頂き、映画に対する熱い想いを語って下さったのは良い思い出だ。
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