《WARNING》
本連載で取上げる映画作品は、必ずしも鑑賞を勧めるものではございません。
【タイトル】
『キッズ・リベンジ』
「プロファイリングだよ! おっかさん!」――それは、筆者選りすぐりのB級アクション映画に登場する、ある1人の人物にスポットを当て、筆者自身が独断と偏見の眼でペロンとプロファイリング! 果てに炙り出されたその登場人物の赤裸裸な性向を、時には模範に、また時には反面教師として、我らが人生をサバイバルする上での糧に供そうとする試みである。
スパイキッズやホームアローンなど、子どもが活躍する映画での名作は数多くある。大人顔負けなアクションを見せる子どもたちは“カッコよさ”と“コミカルさ”の二つを併せ持ち、強大な敵を打ち負かす活躍ぶりは何とも言えぬ爽快感を我々に与えてくれるのだ。
そして今回紹介する作品は、職業:小学生な男の子が父親を助けるべく人を殺す映画となっている。作品の質とは裏腹に、この映画がメジャーになることはないかもしれない。しかしそんな作品に焦点を当てるのが、今連載の醍醐味だ!
今回も主人公のオーウェン・ラトリッジ(演:ライアン・ハートウィグ)の真髄を探りながら、作品の理解をより深めていきましょう!
[Profile]
名前:オーウェン・ラトリッジ(ライアン・ハートウィグ)
性別:男
年齢:12歳くらい
職業:小学生
女性遍歴:なし(童貞)
血液型:恐らくB
身長:5’ 0”(152cm)くらい
[グレート・ピックアップ・ポインツ!]
▲「筆下ろし」より「人殺し」が先だ。
▲「精通」より早くブービートラップに精通してしまった。
▲迷路パズルを解くのが早い。
▲攻撃性は高いが、敵・味方の判断はつく。
▲サングラスのつるで店舗ドアを解錠することが出来る。
[考察]
◆無口で他者に対してほとんど心を開かない。
◆年頃の女性(義姉)を相手にツンデレな対応をとる傾向にある。
◆女性(義姉)のタンクトップ姿よりも、ナイフを振り回す姿に興奮する。
◆襲撃グループの主犯からは「戦争オタク」、義姉からは「変態」と呼ばれた。
◆「いじめっ子狩り」の度が過ぎて入院歴有り。そこで処方された薬を飲んでいる。
[補足]
◆ BはBでも育ちの良さを感じるB級映画です。
◆スティーヴン・C・ミラー監督の最新作『ファースト・キル』は、2018年1月16日からヒューマントラストシネマ渋谷他で開催される「未体験ゾーンの映画たち2018」で上映されました。
◆同作はヘイデン・クリステンセン×ブルース・ウィリスのクライム・アクションです。
◆ビルに金を持ち逃げされたマフィアのボスのベルバンスに扮したのは、90年代に世界中で大ヒットしたアメリカのTVシリーズ「ツイン・ピークス」で、ローラ・パーマーの父親のリーランドを演じたレイ・ワイズさんです。
◆ビッグス役のデレク・ミアーズさんは“モンスターの中の人”として知られ、その代表作に『13日の金曜日』(2009)のジェイソン役や『プレデターズ』(2010)のプレデター役があります。
[総評]
マコーレー・カルキンさん主演の『ホーム・アローン』を深作欣二監督が撮ったらこうなるかならないかぎりぎりの線といった塩梅の本作。
最大の違いは『ホーム~』のケビン(カルキン)君が、家宅侵入者・襲撃者に対し、まあ、いっても「傷害罪」で留めたのに対し、本作のオーウェン君は障害致死・殺人罪まで振り切ってしまうというところ。何故なら彼は、小学校のいじめっ子たちに対し、失明や複雑骨折にまで至る激しい仕返しを行った廉で、専門の病院に入院させられるも、そこの医師から「成人向け施設に送るのが相当」と見放されるほどの「高い攻撃性」を持った、まさに原題にもなっている“AGGRESSION SCALE(攻撃性尺度)”がMAXの少年だったのです! されば金の回収役を引き受けたロイド一味に対しては「相手が悪かったね……」くらいしか、かける言葉が見つかりません。
ちなみに父親のビルが怖い怖いマフィアのボスの金を横領した理由は、成人施設(字幕では「監禁施設」)送りから息子を救うべく、かの医師を抱き込む為の「袖の下」。
当初は“HOT”と“GEEK”の水と油で、全く馬が合わなそうだった義姉のローレンとも、なんだかだで結局「返り血の絆」を結び(ローレンに関しては後に秘めていた残虐性を発揮。そんな新米姉貴の姿を見て、オーウェン、むらむら大興奮!)、事後も2人で行動を共にすれば姉弟版『ナチュラル・ボーン・キラーズ』、弟が独り立ちすればTVシリーズの「デクスター 警察官は殺人鬼」の主人公の様な人生を歩んでいきそうで、なかなか将来性のあるバイオレント姉弟の始まりの物語なのでした。
《あわせて観よう》
『ホーム・アローン』シリーズ、『ドント・ブリーズ』(2016)、『キッズ・リターン』(1996)
【映画タイトル】
『キッズ・リベンジ』
【作品・DVDデータ】
2012年/アメリカ/原題:THE AGGRESSION SCALE/86分/発売元:(株)トランスワールドアソシエイツ、(株)ジャスティ/発売日:2017年2月20日/価格:4,104円
監督・編集:スティーヴン・C・ミラー
脚本:ベン・パウエル
出演:ライアン・ハートウィグ、ファビアン・テリース、レイ・ワイズ、ダナ・アッシュブルック、デレク・ミアーズ
【STORY】
父親ビルの再婚を機に新居に引っ越してきたオーウェン(ライアン・ハートウィグ)。そこは新しい家族のスタート地点のはずだった。ところが翌朝、銃を手にした4人の男たちが突然押し入り、義母マギーを無慈悲に撃ち殺すと、ビルを人質にとってしまった。男たちは、かつての仲間だったビルが、マフィアのボスのベルバンスから横領した大金を取り返しに来たのだ。やがて、2階のバスルームにいて難を逃れた義姉ローレン(ファビアン・テリース)が、ウォーレンの部屋に助けを求めて転がり込んできた。するとウォーレンは、ローレンが手にしていたカッターナイフを瞬時に分解すると、間髪を容れずにドアや窓枠に罠を作り、襲撃犯の1人をおびき入れるが……。
果たしてオーウェンたちはこの絶体絶命の危機を脱することができるのか?!
【映像リンク】
https://www.youtube.com/watch?v=Wnc33j8KIig[/youtube]
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