1980年代以降、各国ともアサルトライフルの小口径化とコンパクト化が進んでいます。7.62mmの時代には1m近くあった全長が、今や60~80cm台。米軍のM4カービンを始め、ブルパップじゃなくてもかなり小型化されています。
そして一部の特殊な用途では、さらに小型化したバージョンも登場し、ARでいうと7インチ前後のバレル長の実用品も存在します。
また、ちょっと前にはPDW(Personal Defense Weapon)というカテゴリもありました。具体的には「有効射程を伸ばしたSMG」といった感じで、米軍ではPDWのトライアルを企画していたそうですが、さまざまな理由から白紙撤回されたとか。むしろ最近では超コンパクト仕様のARなどにPDWの名前がついていたりします。
今回はこのコンパクトなARを中心に、PDW系といわれるようなライフル・SMGを集めてみました(もともと曖昧なジャンルなのでセレクトは厳密ではありません)。AR系が中心で中にはエアガン化されていない機種もありますが、社外カスタムパーツで(ある程度)再現できるものもあります。
「もうちょっと小さいエアガンが欲しいなぁ」と思っているアナタ、ぜひ機種選びやカスタマイズの参考にして下さい。
KAC PDW
KAC(ナイツアーマメント)が試作したPDW。ARをベースにしつつもガスピストン方式を採用してバッファーチューブをキャンセルし、6×35mmという専用の弾薬を使用します。2kg前後と軽量でコンパクトなデザインと、5.56×45mmより射程は落ちますがARの半分ほどといわれたリコイルによる扱いやすさは発表当時話題になりました。
が、その後はどうなったのか・・・結局プロトタイプが数丁作られただけだそうです。
エアガンはDBoysやVFCから電動が、WEからガスブロが発売されていますが、特にVFCの電動ガンはデキがよく評判いいようです。
KAC SR635
PDWの失敗を活かしたのか6×35mm弾対応のアッパーレシーバーでの供給+既存のARロワーというハイブリッドなPDWがSR635。名前の635は6×35mm弾から来ています。バレルは8インチで、マガジンはAR標準のSTANGマガジンを使うそうです。
既存のARに対して「アッパー交換だけで撃ちやすい専用弾のPDWにできるよ!」という提案だったそうですが、「新たな弾薬が増えると兵站面で支障が出るよね?」や「戦闘職種じゃない後方要員のためにワザワザ専用弾の専用火器を支給するの?」という意見があり、これも正式に採用されたという話は聞きません。フォワードアシストノブのないツルッとしたアッパーが外観上の大きな特徴です。
エアガンはこれもVFCから電動ガンが出ています。
FN P90
PDWの元祖的ポジションのP90。ベルギーのFNH製です。
ブルパップで横向き回転マガジンなど独創性がすごい構造。
5.7×28mmという専用弾薬は有効射程は短いものの、ある程度の距離までは貫通力が高く、そのため民間所持が規制されているケースも多いとか。基本的に軍やLE用とのことです。
アメリカでは16インチバレルのセミオートバージョン「PS90」がありますが、貫通力を落とした民間用の弾薬を使うようになっています。
しかし、通常弾でも民間用弾でも価格が高く、訓練射撃もおいそれとはできない価格だとか・・・。
P90もPS90も東京マルイなどから電動ガンが発売されていておなじみですね。
MAGPUL PDR-C
MAGPULがMASADAに続いて発表した長物がこれ。5.56×45mm仕様のブルパップライフルです。
外装はほぼポリマー製でバレルは10.5インチ。でっぱりが極端になくツルっとしていて小型軽量。
ただし実銃はテスト的に数丁しか存在しないようで、市販化や採用の話は全然聞きません。
ちなみに射撃動画は見たことありませんが、エジェクションポートの位置からすると、撃ち終わったエンプティケースは飛び出さず、FNのF2000のようにポロポロと押し出されるように思います。実際はどうなんでしょうか?
また、イラストのみですがもうちょっと実用性をアップさせたPDR-Dというモデルも構想上はあったようです。
電動ガンはPTSから出ていましたが現在は絶版になってしまったらしいです。
TROY M7A1PDW
TROY DEFENCEが発表したARベースのコンパクトライフルがM7A1PDW。
MP5のようなスライドストックで一気にコンパクト化を達成しています。ガスシステムはAR伝統のリュングマン方式のままなので、特別な訓練や教育ナシでARと同じように使えるのが強みといえます。
エアガンで作るのは・・・ちょっと難易度高いですが、ある程度ならパーツの組み合わせで比較的近いものができると思います。
COLT SCW0921
コルト純正のコンパクトARです。
バレルは6.5インチで半分の位置で折りたためるバッファーチューブ+折りたたみ式ストックを備えています。このストックはエアガン用があったはずなので、これに近い仕様は再現できるでしょう。
実銃はストック部が妙に重く、リアヘビーな印象がありました。
LWRC Six-8 PDW
2014年のSHOTSHOWでLWRCが発表したPDW仕様のAR。
ただし口径は6.8mmSPCで、動作はガスピストン方式。ハンドガード一体のアッパーも健在です。
もともと同社のコンプリートガンにはガスピストン方式のM6・M8シリーズがあったため、これをベースにしているようです。ストックはNEA社のものだと思われます。
残念ながらLWRCのモノアッパーはエアガン化されていません。
SIGSAUER SIG516PDW
ガスピストン方式のSIG製ARクローン・SIG516のショートバレルモデル。バレル長は7インチです。
ARのリュングマン方式ではバレルが短くなるとガスチューブも短くなり、ボルトキャリアの開放(後退)タイミングが早まります。これによって動作の安定性に影響が出ることがあり、ショートバレルではガスピストン方式の方が確実なんだとか。
まぁ、SIGにはリュングマン方式のM400というラインナップもありますけどね。
CMMG Mk.9 PDW PISTOL
民間向けARをリリースしているCMMGでは、ピストル仕様で9mmバージョンのARを用意しています。
バレルは8.5インチで確かにこれなら片手でパカパカ撃てそうですね。たぶんマガジンは何かしらの流用だと思います(UZIあたり?)。
なお、スペックシートでガスシステムの記載がなかったのでシステムの詳細は不明ですが、300ブラックアウトのコンバージョン(!)もあるのでリュングマンシステムじゃないかと思います。
よく目にするライフル系のPDWといえばこんな感じでしょうか。特にAK系は紹介しませんでしたが、AKS74UなどはそのままPDWといってもいいようなコンパクトさです。
映画「Newsmakers」より。
アメリカでは16インチバレル以下のライフルは所持に規制がありますが、CMMGのMk9PDWのようにストックを外して「ピストル」として登録すればショートバレルでも合法的に所持できることがあります。エアガンでもAKピストルとかありますよね、あれです。また、一部のミリタリーやLE用途では、このような超ショートバージョンのAR系PDWが実際に使われているケースも。
サバゲで使うには全長が短い方が取り回しもよく、かさばるガンケースも不要。電動ガンなら短くても命中精度や射程距離はあまり変わりません。好みはありますが、短い方がいろいろと便利なのは確かです。
あまり細かいところにこだわらず「短くて軽いPDW系の電動ガン」でお手軽サバゲーというのも(たまには)いいですよ。短小タイプの電動ガンを選んだり、またはカスタムする時の参考になれば幸いです。
※本記事は過去記事の内容を基に校正しています (2017.12)
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