電動ガンとしての機能の中枢を担うのが内部のメカボックス。
ギアやピストン、シリンダーといった機能部品が集約されており、一般的には亜鉛合金製のものが主流ですが、社外パーツの中には他の素材による強化品もあります。
今回紹介するのはRETRO ARMS(レトロアームズ)というチェコのメーカーが製造する「CNC Gearbox v2-8mmBearing-QSC 2015Ver」。
先日のVショーで購入したもので、A7075-T651(超々ジュラルミン)を素材としたCNC削り出し品になります。
各所にポコポコと穴が開いていますが、ポイントを抑えた補強や素材自体の強度によってヤワなわけではありません。極めて軽量でありつつも高い耐久性を備えたメカボックスと評判です。
なお、今回のモデルはver.2の8mm軸受タイプ。ラインナップにはver.3用や上下分割式のver.2用などもあります。
内容物
メカボックス本体、専用スプリングガイド、専用ネジがセット。
他にステッカーも1枚同梱されていました。軸受は入っていません。
本体に入っているシリアルナンバーは・・・
左右共通で同じもの。ワンセットとして組み合わされて製造されています。
表面のツールマークはいかにもCNC切削!という感じですね。
ピストンレール部分
外からピストン後退位置が見えるようになっています。
レール上下の非接触面のモールドはエアフローのためでしょうか?
ギア位置確認用の穴
AOEとは「Angle Of Engagement」の略で、セクターギアとピストン最後尾の歯のかみ合わせ角度のこと。この角度が垂直に近いほど、ピストンやギアに無理な力がかからなくなり耐久性が増すといわれています。
これを外から確認できるようになっているだけでなく、この穴からの注油も可能です。
ケーブルの取り回しもよく考えられています。
全体的に配線経路が広く、かなり太いケーブルでも仕込めます。
写真の長穴はモーター軸に干渉しないよう配線の逃げに。「押さえ」もついていますね。
他のメカボックスでは見慣れない特徴もいくつかあります。
なお、このメカボの重さは約140g。
東京マルイ製のノーマルver.2メカボは約290gほどあるので単純に半分の重さです。
専用の本体固定ネジは強化タイプ。
厚みのあるヘックスネジが採用されています。
左右張り合わせ用のネジの長さは2種類だけなので間違える心配はないでしょう。
各部を紹介するだけではピンと来ないかもしれないので、実際に組み込んでみました!
サンプルは以前に記事で取り上げた「長掛けHOP+ASCU組み込み」のver.2メカボックス。
メカボ自体は東京マルイのノーマルですが、これを今回のCNCメカボに交換します。
ポイント1:軸受はしっかり固定!
軸受はZC製の薄型タイプ(ステンレス製)を使用しました。
しっかりと脱脂を行い、高強度の瞬間接着剤で確実に固定して下さい。
軸受が緩んだりカパカパ浮いているとギア回りのトラブルの元になります。
ポイント2:ピストン停止位置の調整
ピストン停止時の位置がやや前寄りだったため、シリンダーヘッドにニトリルゴム製の水道用パッキンを貼って調整します(サイズは直径24mm、内径16mm、厚さ2mm)。
これも耐衝撃性瞬着でガッチリと固定しましょう。
組み込んだ後でチェックしてみると・・・
セクターギアの最初の歯が、ほぼ垂直状態でピストン最後部のラックに当たるようになりました。
ピストンやギアの耐久性はかなりアップするはずです。
ポイント3:ASCU基板の加工
移植するASCU(電子制御トリガーユニット)はGEN.3。ただし基板はそのままでは入らず、写真のように一部を削る必要がありました(強引に押し込むと原因不明のエラーが頻発します)。
もっとも、ASCUの基板側の誤差もありえるので、実際に作業する際はこまめに当てて確認しながら削って下さい。
チェックに関しては、メカボの上下を合わせてキチンとネジで留めるなど、しつこいくらい確認しましょう。
ポイント4:カットオフレバーのネジ
付属するのは木ネジではなくビス。ここを締め過ぎるとカットオフレバーの動きが悪くなって正常に動作しなくなり、エラーが頻発するので要注意!
念のため緩み止めのネジロック剤を使い、ガタが出ない程度に締め込みましょう。
なお、すぐ上にあった銀色のピン(スイッチスプリング用)は基板のFETと接触しそうだったので除去しました(引っ張れば抜けます)。
付属スプリングガイドのネジ穴はやや浅めです。
長いネジを切断してもいいのですが、今回はナットを挟み込んでお手軽に長さを調節しました。
多少の調整を入れつつも上下(左右)を貼り合わせて完成!
メインスプリングとスプリングガイドはこの状態で外から差し込むことができます。
メカボ内部の各寸法はマルイ準拠ということなので、シリンダーやタペットプレートなど、その他のパーツはそのまま移植できました。
なお、トリガーには同社のストレートトリガーを入れてみましたが、これがまたベストマッチ。特に加工をしなくてもトリガーストロークをがっつり短縮でき、軸の精度が高いので組み込みも非常にラク。ぜひ同時に導入したいパーツです。
ロワーに組み入れてグリップ・バッファーチューブを取り付けた状態でテストドライブ。
グリップに差し込まれるメカボックス下端部の形状がノーマルとほんのちょっと違うため、グリップによっては内部の当たる部分を削らなければなりません。
今回はほぼ無加工、モーターの位置調整だけでセミオート・フルオート(バースト)とも問題なく動作しました!
ただ各部の穴のせいか、ギアノイズが盛大に(これ大丈夫か?というレベルで)聞こえます。もう少しナラシが進めばもっと静かになるかもしれませんが、このあたりはちょっと様子見ということで。
アッパーを乗せて初速をチェックしたところ、当然ながらメカボ移植前とほぼ同じ。サマリウムコバルトモーターもすっかりナラシが済んでおり、セミオートの連射がバシバシ決まります。
何よりグリップのすぐ上にあるメカボックスが150gほど軽くなるので、重量感や取り回しは大きく向上しました。そして究極ともいえる精度と強度があるため、よほどムチャな使い方をしても割れたりしないでしょう。
※本記事は過去記事の内容を基に校正しています (2017.11)
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