2014年、SIG SAUERが突如としてリリースしたのが「ARM BRACE(アームブレース)」。正式には「Stabilizing Brace」といい、ピストル仕様のライフルに装着できる「片手保持用補助装具」といったものです。
現在では同様のものはいくつかのメーカーから販売されていますが、これがアメリカ市場でちょっとした問題となったのはご存じでしょうか。
というのも、アメリカで「ライフル」と認められるには16インチ以上のバレル(銃身)を備えていなければなりません。16インチ以上であれば(州にもよりますが)簡単に購入でき、買ったその場で持ち帰れることもあります。
一方、ピストル(ハンドガン)は登録に時間がかかり、購入してもその場で引き渡しできません(1週間や10日後というケースもあり)。隠し持てるハンドガンは誰でも買えるものではないのです。
というわけで、このような10.5インチや7インチといった短いバレルのARはピストル扱いになっています。
で、問題のARM BRACEは本来こうやって使います。
はい、片手用の補助装具ですね。
し か し !
その形状のためかこうも使えちゃうのです!
こうなると、単にショートバレルのライフルに!
銃火器の規制を司るATF(アルコール、タバコ、火器及び爆発物取締局:Bureau of Alcohol, Tobacco, Firearms and Explosives)がいい顔しないのも当然でしょう。
というわけで、このほどATFからARM BRACEに関する見解が発表されました。
ATFの見解(要約)
ATFのFirearms and Ammunition Technology Division(FATD)は、いわゆるARタイプピストルに取り付けて使用する「ARM BRACE」に対する見解を変更します。
これまでARM BRACEの取り付けは、National Firearms Act(NFA)の規定する銃器の分類を変えるものではないとしていましたが、これを改め「銃器を再デザインするもの」と変更します。
これによりARM BRACEを取り付けた16インチ以下のライフルおよび18インチ以下のショットガンは、ATFによって規制される「ショートバレルライフル」として扱われます。同時に登録と登録税の支払いが必要となります。
どういうことかというと、「ピストル」ではなく特別な許可がいる「ショートバレルライフル」にするわ!ということ。
ちなみにNFA-1ともいわれるショートバレルライフルはローエンフォースメント用の銃器になるので民間人は(基本的に)所持できません。
もともと、SIG SAUERから発売された時点で「これ大丈夫なの?」という声があったのですが、ATFではついに規制に乗り出したようです。
筆者はSHOTShow@2015の会場で実際にARM BRACEが付いたピストルARをいくつかイジってきましたが、普通にストックとして使えそうなモノでした。ウデに通す部分は、肩に当ててもペナペナしていません。
今後は販売が制限されるでしょうし、もしかしたらすでに所持している人への通知や指導なども・・・? 数年後には「あぁー、そんなストックあったよねー」とすっかり過去の話になっているかもしれません。
とはいえ、エアガン用のパーツはまだどこからも出ていないようですが、その発売を待っている人は意外と多いのではないでしょうか。
ショートバレルの民間ARを再現するには最も手軽で効果的なパーツなので、例え実物が規制されてもエアガン用の発売には期待したいところです。
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