【インタビュー】ウォーゲーミングジャパン・ミリタリーアドバイザー宮永さんに聞く「World of Tanks」の魅力とサバゲーの類似点・前編

東京某所、駅から程近いとあるビルの上階。
今回、さばなび編集部はウォーゲーミングジャパン様のオフィスにお邪魔させていただく機会を得て、プレイヤー人口一億人(!)という超大ヒットゲーム「World of Tanks」の魅力を聞いてきました!

ウォーゲーミングジャパン
「World of Tanks」の魅力とは
ミリタリーアドバイザー・宮永忠将さんインタビュー

war3

「WoTには銃器は登場しませんが、サバゲーマーのみなさんが銃器や戦車にどのような関心があるのか、興味は尽きないですね」

ーー今日はよろしくお願いします。
まずはWorld of Tanks(以下WoT)に登場する戦車とはどういうものか、簡単に教えて下さい。

「武器を積んでいるゴツい車っていうイメージがありますけど、一応はルールがあるんです。まず大型重機のような足周りの、不整地でもがしがし走れる無限軌道で走行すること。次に、全周を狙える旋回砲塔と強力な砲を積んでいること。そして自分が積んでいる砲の直撃にも耐えられるような装甲を持つこと。例外はありますが、これらの条件を意識して作られた兵器が戦車と呼べるでしょう。
1917年に登場したフランスのルノーFT戦車が、現代の戦車のルーツです。現代の戦車はハイテクの塊で、命中計算などはコンピューターがやってくれますが、1960年代くらいまでは人間の目を頼りに光学スコープで覗いて撃つ戦い方で、銃と同じなんですね。WoTはそういう戦車を操って戦う、15対15のオンラインゲームです。戦車を使ったサバゲという説明がわかりやすいかな。

考証・挙動のディティールにこだわる

ーーWoTでは戦車のディティールにこだわっていると伺っています。

「戦車の外見はもちろんですが、挙動や物理計算にはこだわり抜いています。あくまでゲームですので、画面上や捜査上の処理はデフォルメされていますが、それぞれの戦車の持っている個性のようなものは、何かしらの実車の性能や長所、あるいは欠点を反映したものなのです。戦車はいまのところ約400種類が登場しますので、各々について、戦車マニアはもちろん、WoTで初めて戦車に関心を持ったというプレイヤーの質問や、要望に応えるのが、私の仕事の一つです。」

ーー400種類も登場するのですか!

とにかくたくさんの戦車が出るのが、WoTの魅力です。ティーガー戦車なんていう有名な戦車はもちろんですが、なかには計画だけで終わってしまったものや、メーカーが潰れて詳細が分からない戦車もたくさんあります。そうした資料を専門家などの協力を得ながら発掘したり、再現していったものもたくさんありますよ。
戦車はハイテクの塊で、自分で開発できた国はわずかです。日本はそうした数少ない国なので、ウォーゲーミング社が東京にオフィスを開設するにあたっては、「日本の兵器の情報が必要なので、兵器の情報や歴史に精通した人間を置くように」と本社から言われ、私が関わることになったのです。」

ーー以前は軍事系のライターや編集者をされていたそうですね。

「はい。ざっと10年くらいそうした専門で仕事をしていました。入社した当時は『ウォーゲーミング社のタイトルについて、運営部署における品質保証』といったポジションだったのですが、今はそちらをこなしつつ、広報に近いような仕事も増えてきましたが、前例がないのでよくわかりません(笑)。見た目はリアルに、でも中身はゲーマーが楽しめるような、『リアルとバーチャルの橋渡しを、主に軍事的な側面から手伝う』といった立場でしょうか。」

t-34_1

——WoTはプレイヤー数が1億人もいるとのことですが、どの国の人が多いのですか?

「開発拠点が置かれているのもありますが、圧倒的にロシアやその周辺国ですね。ヨーロッパも多い。ロシアって、歴史的に戦車へのプライドがすごく高いんです。かつてソ連時代にナチス・ドイツを戦争で破ったのは、自分たちの軍隊と、T-34に代表される戦車だという意識がすごく高いんですね。また米ソ冷戦時代には、ソ連の戦車は恐怖の象徴でしたし。こうした歴史があって戦車=ソ連/ロシアという構図ができています。だからロシアや旧ソ連、ヨーロッパでは戦車と戦車がぶつかり合う戦争というのがイメージしやすくて、WoTの人気に繋がっているのです。

——WoTに人間は登場しないんですね。

「FPSゲームなんかだと、戦車って歩兵に対して圧倒的に強いので、ボスキャラとか物語分岐のキーに使われたりと、そんな扱いですが、WoTでは現代の戦車ほどテクノロジーが行きすぎていない、ある意味で人間くさい挙動をする戦車を動かして遊ぶ、戦車を使ったサバイバルゲームという遊び方を基本にしています。

——宮永さんの思い入れのある戦車はありますか。

「戦車に限らず、兵器って、ゴールは同じ場所を目指して開発されるのですが、その過程でお国柄とか出ちゃうんです。私はフランスの昔の戦車が大好きで、S-35なんて、他の戦車と比べるとすごくセクシーですよ。でも、あの丸みを綺麗に出すには、すごく高度な鋳造技術が必要で、他の国にはなかなかできない設計でした。国によっては、貧乏で予算がないから、逆にあれもこれも担って、ハリネズミみたいに銃器を積みまくって、逆に弱くなった戦車を作ってしまう例などもあります。そうした失敗戦車も、WoTをやっていると微笑ましく思えたりしますね。」

somua1(S35戦車、画像:Wikipedia

WoTの腕前を左右するのは反射神経や戦車のスペックだけではない。
どんな戦車にも必ず役割がある。

——WoTがこれだけヒットした要因ってなんでしょう?

「とにかく反射神経がものを言うFPSは、最初からやるにはとっつきにくいものも多いのですが、WoTの場合は、戦闘は激しいのに、割と個々の戦車の動きはスローモーなので、技術や経験、知識の蓄積でカバーできるのです。また人体では弾が当たるとおしまいですが、戦車は装甲の強い部分がはっきりしているので、自分の長所や短所を知れば、立ち振る舞いで能力以上の性能を引き出せるのですね。このように動体視力だけでは差が出にくいことが、ファンを増やしたのだと思います。

——サバゲーでも役割分担は重要ですが、WoTも似ていますね。

「WoTの戦車は大きく5つのカテゴリーがあります。軽戦車は戦場で情報を収集し、重戦車が身体を張って前線を作ります。駆逐戦車は遠距離からスナイプし、自走砲は最後方から火力で支援。そしてオールラウンダーの中戦車が臨機応変に敵の弱点を突くのです。サバゲーのアタッカーとかスナイパーとか、似たような役割は戦車にもあるんですよ。

firefly_1

——長くプレーするほど車輌のランクが上がり、それによって能力の不公平感とか出てきませんか?

WoTの戦車にはTier1から10までのランクがあります。Tierとはレベルやランクのような指標で、ゲームはランダムで、似たようなTier、つまり性能の戦車同士がマッチングするようになっていますので、強い戦車の相手は自然と強い戦車となります。また、戦車には絶対的な強者はいません。主砲が強力なら、その分、重量が増えて足が遅くなったり、装甲が薄くなったりします。突出した高性能は、必ず別の部分の妥協とトレードオフ関係にあります。走攻守のバランスと大きさ、重量の限度の中で、性能を追求しているのが戦車なのです。
それにプレイヤー全体の統計を見ながら、強くなりすぎている戦車があれば、アップデート時に調整が入ったりします。それでも、明らかに強い戦車はいますね。ソ連のIS-3なんかは強戦車の代表格ですが、「俺たち(旧ソ連)の戦車だから当然だろ」みたいな自信が伝わってきます(笑)それでも必ず弱点はあるので、安心して下さい。」

 

・・・聞けば聞くほど出てくるミリタリー・戦車・ゲーム話!
続きは来週の木曜日の後編で!お楽しみに!

「World of Tanks (ワールドオブタンクス)」

サードパーソンシューティングゲーム
対応機種:Windows 7 / XP / Vista / Windows 10 / Xbox 360 / Xbox One / Mac OS X/ PlayStation 4

aa

World of Tanks Blitz

対応機種:OS / Android / Windows 10

blitz

(C) Wargaming.net

[amazonjs asin=”B00LN4CZD2″ locale=”JP” title=”World of Tanks: Xbox 360 Edition コンバット レディ スターター パック”]

牛浜 のぶ子

前職は広告系企業に勤務。取材やまとめ記事の他、海外留学の経験を武器に、海外記事、翻訳記事の作成なども担当。魅力ある文章を書くことを心がけていますので、皆様が読んで楽しい!記事をお届けできるよう日々努力中です。

投稿者記事

  1. 【装備】終末マッドサバゲにおすすめマスク「Ronin」ヘッドショットも関係なさそうな勢い

    2018-05-09

  2. 【ドーン】見える・・・見えるぞ!この超大型ドットサイト「MGRS」の無敵感がハンパない

    2018-05-09

  3. 【やりたい】ドローンと光線銃を使って「リアルインベーダーゲーム」これは楽しいに決まってる

    2018-05-08

  4. 【赤外線銃】速報!200m届くリアルスナイパーライフルが登場!未来型サバゲー勢力拡大中!

    2018-05-08

関連記事

  1. 【新フィールドレビュー】話題のインドアフィールド!!  藤岡の「ASTREA(アストレア)」さんにいってきた! その2

    2014-03-07

  2. 【映画】ロシア軍全面協力の本気のエンタメ大作『オーガストウォーズ』を見てきた!

    2013-08-14

  3. 【HYUGA限定商品】ピストルスコープ&マウントリング セット

    2018-03-22

  4. 【4/30・浅草台東館】今年もヴィクトリーショーがやってきた!!

    2017-04-28





アーカイブ

ページ上部へ戻る