ここ数年で人気となったカスタムARといえばWAR SPORT INDUSTRIESの「LVOA」です。
ちなみに「ルヴォア」「エルヴォア」ではなく「エルブイオーエー」と読みます。理由は「Low Visibility Operations Application」の略称だから。
ハンドガードにマズルがめり込んだ独特のデザインはもちろん、精密加工機器を使用した自社オリジナルパーツ+定評のあるパーツをセレクトして組み上げた高い精度がウリで、高価ながらタクティカルシーンでは確固たる地位を築いているそうです(SHOTSHOWでメーカーの人がそう言っていました)。
エアガンでもハンドガードやマズルデバイスといったパーツはいくつかのメーカーから出ていて、それなりのレベルまで再現は可能でしたが、このたび正式に認可を取ったライセンスモデルが登場しました。
メーカーはイカ印で知られるKRYTAC(クライタック)。
ここから電動ガンがリリースされ、国内正規代理店のLayLaxが発売を開始します。
今回は期待している人も多いであろう、このKRYTACのLVOAをリポートします!
なお、内部に関してはTRIDENTシリーズと同じため、そちらのレビュー記事も合わせてご覧ください。
●KRYTAC LVOAのスペック
全長:830~910mm
重さ:3.07kg
アウターバレル:14.7インチ(約350mm)
インナーバレル:380mm(6.05Φ)
装弾数:320発(多弾数マガジン)
初速:89.8m/s(0.2g弾の10発平均)
価格:未定(6万円弱、2016年1月発売予定)
問い合わせ先:LayLax
●外観全景
モデルは14.7インチバレルを備える「LVOA-C RIFLE」。ほんのちょっと異なる点はありますが、全体的な再現はかなりのもの。さすが正規認証品!
なお、今回のサンプルはグリーンではなくグレイのモデルになります。塗膜はセラコートではありませんが丈夫なものです。
●各部紹介
フロント
LVOAといえばこれ!という特徴的なハンドガード。マズルデバイスの先端とピッタリ同じ長さに合わせてあります。
左右と下側にはスクリューホールがあり、一般的な規格のレイル(MAGPUL製など)をねじ込んで固定することが可能。最近ではKey-ModでもM-LOKでもないアクセサリーホールは少数派といえます。
マズルデバイスは専用品。
独特のコンペンセイターは「TOP HAT COMP」と呼ばれるLVOA専用のパーツ。先端にWAR SPORTの刻印が入るのは正規認証品の証ですね。
先端の上下部にある縦スリットはワイヤーカッターだそうです。
ハンドガードの前1/4の下側は放熱孔が開口していません。
これは実銃通り。
コンペンセイターから吹き出した発射ガスはハンドガード内側に当って反動を抑制しますが、この吹き戻したガスがグリップする左手に当たらないように塞いであるそうです。
内部はガスブロックやガスチューブまでしっかり再現。
ガスチューブは側面からは見えませんが、上部レイルの放熱孔からキラリと光ってよく目立ちます。
ハンドガードの回転防止ピンもあります。
これは実銃にもちゃんと付いていました。
ただ、ボディ同色ではなくブラックなのが惜しいところ。
レシーバー
基本的に同社のTRIDENTシリーズと同じレシーバーです・・・が、最大のポイントである刻印が相違点。
WAR SPORTとLVOAの刻印が、バッチリ再現されていますよ!
ピクトグラム式のセフティ/セレクター刻印も実銃通り。
なお、市販品にはCMC風のトリガーが組み込まれるそうです。
反対側にはLVOAのロゴマークが。
ちょっとだけ位置が上のような気もしますが、書体は実銃そのままで見事に再現されています。
グリップはこのLVOAモデルの専用品?
シンプルで握りやすく、スイッチングもやりやすい良いグリップです。
なお、実銃のLVOAにはMAGPULのMIADが装着されています(2015カタログの写真では)。
KRYTAC電動ガンのポイントであるアンビレバー。
実銃のものによく似ていますが、ホンモノのLVOAはセミオートオンリーで60度セレクターが標準装備。そう、フルオートのマーキングはあるけどダミーなのです。
ボルトキャッチ機能も搭載。
HOP調整がやりやすく、ボルトキャッチで解除するとチャキン!とスムーズに閉塞。病みつきになりそうな心地よい感覚です。
HOPチャンバー
ドラム方式でダイヤルクリックがあるため、調整しやすいだけでなく緩みにくくなっています。
樹脂製ですが実射したところ、チャンバー自体の精度はかなりよいものでした。
ストック
TRIDENTシリーズと同じくバットプレート裏にミニバッテリーがタテに入ります。
非常に軽く使用感もいいというよくできたストックです・・・が、実銃の標準装備はB5製のSOPMODストックになっています(2015カタログの写真では)。
気になる人は交換しましょう。
フロント/リアサイト
固定式のアイアンサイトが付属しています。
狙いやすくて使用感はいいのですが、実銃に装着されているのはMAGPULのMBUS-PROなので、気になる人は別途調達しましょう。
●実射チェック
いつものように屋内にてターゲットペーパーを撃っての判定です。
適正HOPに調整後、付属のアイアンサイトで狙った結果は・・・。
非常にまとまりがよくサイト調整後はバラツキがほとんどなし。ワンホールともいえる集弾性でした!
初速も89.6~89.9m/sの間でビタっと安定しており、本体の高い剛性とあいまって上下左右へ散ることはほぼありません。
また、標準装備のMOS-FETとハイトルクモーターは、リポバッテリーと非常に相性がよく、トリガーリーチは決して短いわけではありませんが、軽やかに回転するセミオートはとても快適。
サバゲで使ったとしたら「フルオートいらないかも」というレベルでした。
※写真はイメージカットなのでアイウェアを装着していません
ただ、長いハンドガードとスチール製のコンペンセイターのおかげで重量はちょっとしたもの。特に長いフロントの先端部に重さを感じるため、握力がない人や女性には取り回しがキツイかもしれません。
●カスタマイズの例
皆さまお待ちかね、プチカスタマイズの参考例です。
今回はシンプルに、オリジナルのLVOAらしさを意識してみました。
MAGPULのXTMフォアグリップや専用バンジーコードが手元になかったのでやや寂しい仕上がりですが、マガジンは最新感を演出できるHEXMAGを使用。
光学機器は東京マルイのショートスコープ(旧型)+VFCのナイツタイプのオフセットマウント。
前後サイトは実銃にならってMAGPULのMBUS-PROを装着しました。
それほどゴテゴテ盛りまくったLVOAの画像はあまり見かけないので、これでも結構いい感じだと思います。
せっかくなのでショートマガジンスキーといわれる筆者は20Rタイプも装着してみましたが・・・
おや、これはこれでアリではないでしょうか?
とりあえず分かったのは、LVOAはシンプルに仕上げるのがよく似合うということでした。
●まとめ
よーく見ると細部は実物と微妙に違ったりしますが、よくできた刻印や(ほぼ)完全再現のハンドガードなど、誰が見ても「LVOAだ!」といえる高い完成度です。
実銃はカスタムARの中でもハイエンドな3,000ドルもしますが、少ない生産量もあって中古市場では定価以上のプレミアが付くこともあるとか。
ある意味憧れのタクティカルARといえます。
そのLVOAをかなりの完成度でモデルアップしたKRYTACには素直に拍手を送りたいところ。
もちろん外観だけでなく、高精度でキチンと動作するメカボックス、集弾性のよいHOPチャンバーなど電動ガンとしての完成度も高レベルに仕上がっています。
価格は6万円弱(予定)と高価なので、さすがに気軽に買えるものにはならなさそう。
ただ、それに見合う価値はあるハズです。加えて「リアルなLVOAがほしい!」という人には正規ライセンス品であるこれ以外は考えられないかもしれません。
LVOAが好きな人、最新のタクティカルARに興味がある人は、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか!
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