こんにちは、アヤベです。
みなさま、先週のシルバーウィークはいかがお過ごしでしたか？
アヤベは、久しぶりに隊員妻との「女子会」を楽しんでまいりました。そこで、ちょっと変わった奥さまと出会いましたよ。
T夫妻には子供がいません。旦那さまのT2曹は、単身赴任3年目。普段は営内で生活し、休みのときに自宅へ帰るという「週末婚」のような生活をしています。
奥さまは、女性にしては珍しく「買い物や旅行が面倒くさい」タイプ。趣味は料理と映画鑑賞。一緒に暮らしているときは毎日のお弁当作りを欠かしませんでした。映画といっても、映画館に行くのではなく、もっぱらDVD派。家の中で完結することが好きで、プライベートではとことん出不精なのです。
T2曹は逆に、用がなくてもどこかに出かけたい人。特にウィンドウショッピングが大好き。家電店やスーパーも、1軒だけでは満足しません。一度出かけると、いろんなところに行ってみたくなるので、キャベツとひき肉とお風呂用洗剤を買うのに、寄り道しすぎて6時間もかかるんですよ。新婚当初は、T2曹があちこちのスーパーに行きたがるので、奥さまが駐車場の車の中でDVDを見ながら待っていた、なんてこともあったそう。
家電も食材も生活必需品も、洋服と化粧品以外は全てT2曹が選んで買ってきたもの。奥さまが鑑賞するDVDも、T2曹のチョイスです。趣味に合わない映画を借りてくると奥さまの機嫌が悪くなるから――という理由をつけて、レンタル店にたっぷり2時間も滞在して吟味します。
見て選ぶのが大好きなT2曹と、家にあるもので満足する奥さま。お互いのやりたいこととやりたくないことが、ちょうど鍵と鍵穴のようにピタリと一致して楽しく暮らしていたT夫妻だったのですが、単身赴任になったためにいろんな不便が生じてしまいました。
奥さまの悩みは、買い物をしてくれる人がいなくなったことで、「ラップがない！」「シャンプーがない！」「お醤油がない！」と、生活必需品がいつも何か欠けているという状況に。「ゴミ捨ても全部任せていたので、ゴミの日がいつかわからない」と、T2曹が帰宅するまでベランダがゴミ置き場。DVDも自分で借りに行かないといけなくなりました。
T2曹は、大好きな買い物に行く用がなくなり、自分が選んで買ってきたものを喜んで使ってくれる奥さまがいないことで、これまたストレスをためています。
ある夜、パソコンで大好きなお料理サイトを眺めていた奥さま、最近のホームベーカリーは多機能で、パンを焼く以外にも、お蕎麦やうどん、お餅もできることを知り、料理欲に火がつきました。そこで、買い物担当のT2曹に調べておいてもらおうと、メールをします。
――パン以外も作れるホームベーカリーが欲しいな～
すると、T2曹からすぐさま返事が。
――ホームベーカリーなら、もうすぐP社が新製品を出すからちょっと待ってて。キッチンカウンターにおけるサイズで色は白とブラウンとシルバー、ウチならブラウン！
単身赴任中でプライベートがヒマになってしまったT2曹、どうやら近くの家電店数軒に通いつめているのだそう。奥様の手料理が恋しくなったのか、特に調理家電についてはその機能や価格について熟知。店員さんよりも詳しいくらいになっていたのでした。
そんなにお互い不便なら、単身赴任せずに奥さまも転勤先で一緒に暮らせばよかったのに、と思うでしょう？ どうして単身赴任になったのかというと、T2曹は「引越し先を十分に吟味する時間がなかった」から。間取り図を見るのも大好きなT2曹、住まいに妥協したくなかったんですね。かたや奥さまの理由はというと、やっぱり「引越しするのが面倒だった」からだそうです。
実は、この話はもう過去のこと。この夏、晴れて単身赴任から開放されたT2曹、元いた部隊に戻ってきて、奥様との生活を再開しています。ホームベーカリーの機種はほぼ決まっていて、発売後、口コミサイトで不具合の報告がないことを確認してから購入する、とのこと。トコトンこだわりますね。
自衛隊員には転勤がつきもの。幹部自衛官なら2、3年おきに転勤します。T2曹もあと一度くらいは転勤があるはずです。一緒に暮らすか、単身赴任を選ぶかはその家庭の状況によって変わりますが、単身赴任になると、比較的早く家族の元に戻ってこられます。
T夫妻が次の転勤でどんな選択をするかわからないですが……奥さま、ゴミ捨てと買い物くらいはできるようになっておいたほうがいいですよ！
イラスト：モノ
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