【連載】もと女性自衛官アヤベの「ここだけの話」その21~迷彩の明細

こんにちは、アヤベです。

ミリタリーユニフォームとして世界共通な迷彩服。一言で迷彩といいましても、いろんなタイプがあるのは、さばなび読者のみなさまならご存知ですよね。

陸上自衛隊の作業服は、緑と茶色のドットパターンで、いわるゆ「迷彩」といえばこちらを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。過去は、OD色の作業服も存在したのですが、今では廃止されまして、全員がこのドット柄迷彩を貸与されています。

航空自衛隊の作業服に、グレーを基調とした「デジタル迷彩(通称・デジメ)」が採用されたのはつい最近。過去はずっと単色で、グレー→グレーグリーン→グリーンと、色とデザインを大胆に変えてきましたが、今では全隊員の作業服がこのデジタル迷彩であります。ペトリオット部隊や基地警備隊などに所属する一部の隊員には、陸自タイプの迷彩服が貸与されています。色は、陸自仕様よりもドットが荒い雲形で、茶色の割合が多いのが特徴です。

ちなみにアヤベが現役時代のときの作業服は、グレーグリーンとグリーンのちょうど過渡期。アヤベの次の期からグリーンが標準貸与になりました――と言ってしまうと、期別がバレてしまいますね! 両方を着用しましたが、デジタル迷彩は未着用。それまでに退職した空自隊員は、「自衛官だったけれど、一度も迷彩を着たことがない」という人がほとんどなんですよ。

海上自衛隊の作業服は、ちょっと暗めのブルー。空自の作業服がガラリと色や形を変えていくのに比べて、伝統を重んじる海自では、ずっとこのスタイルを守り続けていました。ただ、このブルーの作業服、ぱっと見で自衛官だということがわかりづらいのです。「海上保安庁」だと勘違いされたり、湾岸の作業員だと勘違いされたり。空自と同様、警備隊など一部隊員には、これまた陸自仕様のものが貸与されているのですが、こちらは、完全に陸自隊員にしか見えません。つまり、通常作業服姿だと「海上保安庁」「消防隊員」、陸自型迷彩姿だと「陸上自衛隊」と報道されたりして、せっかく活躍しているのに誤解されてしまうことが多いのです。哀れ、海上自衛官。

ところが! 2012年から、海上自衛隊にもブルーの迷彩服が登場しました! 柄は空自よりも細かいデジタル、米海軍に似た色調ですが青の色身がやや強く、いかにも「海自っぽい」のであります。これなら、もう誤解されることはありません。全隊員にまでいきわたるのはまだ先のことですが、これから徐々に普及していくとのこと。こちらの海自型迷彩の特徴は、ところどころに錨のマークがついていること。海自型迷彩を着た海自隊員を見かけることがあったら、ちょっとお願いして見せてもらってくださいな。

これで、3自衛隊それぞれの迷彩服ができたわけなのですが、基本の陸自型迷彩がなくなったわけではありません。空自、海自には陸自型迷彩服で任務につく隊員もいます。今回はこの3自衛官が陸自型迷彩を着て並んだときの区別の方法を特別に教えちゃいましょう。「柄が大きくて茶色っぽい」のは空自です。残る陸自と海自の区別方法はと言うと、「敬礼をさせてみる」こと! 実は、これしかありません。陸自、空自の敬礼は、ひじをうんと横に張るのに比べて、海自の敬礼は狭い艦艇内を想定しているため、ややコンパクトなのです。

個人装備品として貸与される被服は、任務によって多岐にわたります。同じ隊員同士でも知らない装備品があったりするんですよ。アヤベが知らない被服もあるだろうなあ。「こんなレア物を知ってる!」という方がいらっしゃいましたら、ぜひぜひ教えてくださいな。

イラスト:モノ

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綾部綾

長崎出身、名古屋市在住、元航空自衛官。
ライター&プランナー。
料理と宴会幹事が趣味で、サバゲでは主に弁当、炊事、打ち上げ等の後方支援を担当。

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