こんにちは、アヤベです。
この時期は、「ゲリラ豪雨」なんかで突然天気が変わることがありますよね。アヤベも先日、自転車に乗っているときに急な雨に降られて参っちゃいました。
そんな雨に備えて、折り畳み傘を準備している人も多いでしょうが――なんと、自衛官は傘をさすことができません!
とはいっても、安心してください。家族でお出かけしているときに、ひとりだけずぶ濡れを余儀なくされるというような、非人道的なルールがあるわけではないです。自衛官は、制服着用時に傘をさすことができない、というだけです。プライベートではもちろん、ちゃんと傘をさしますよ。
では、制服のときに雨が降ったらどうするのかといいますと、「雨衣(あまい)」という、コートのような長袖のカッパを着用します。
自衛隊には「自衛官服装規則」というものがありまして、その第16条に「自衛官は、雨雪、寒冷等の場合には、雨衣又は外とうを着用することができる」と示されています。つまり、「傘をさすことができる」と書かれていないので、傘をさすことができないのですね。もし、雨衣がなかったら? ――そのときは、残念ながら、ずぶ濡れを余儀なくされます。
雨衣も、もちろん貸与されている「官品」の被服です。雨衣は1着しか貸与されませんので、ほとんどの隊員は職場に置いているものですが、急な雨が降ったとき、手元に雨衣がないと、とても困ってしまいます。
「同じものなんだから、傘みたいに借りればいいのに」とお思いかもしれませんが、この雨衣、階級章がついているんです(陸・空の曹以下にはついていません)。ですので、借りようと思ったら、自分と同じ階級の隊員を探さないといけません。サイズも様々ですので、雨衣の貸し借りは現実的ではないのです。
連載その14で登場したオタク男子のS君は、お風呂に入らなくても平気なタイプですので、身なりにもあまり気をつかいません。自衛隊法第58条で「服装を常に端正に保たなければならない」と定められている自衛官的にいえば、法律違反ギリギリのセーフ――うーん、時々アウトでした。
このS君、雨天時に雨衣を着て営内(基地内の寮)に戻ったとき、翌朝晴れていたら、職場に持っていくのを忘れてしまいます。隊員だった3年間、ほぼ毎回忘れていました。愛されキャラではあったのですが、お風呂に入らないことまで含めて愛されていたわけではないので、同じ階級の仲間も、雨衣を貸す気にはなりません。
ですので、雨が降ると毎回、「営内に雨衣を取りにいくために、ずぶ濡れになる」なんていう、ちょっとわけのわからない事態になってしまうのでした。
とはいっても、S君はごくごく稀な、特殊なケースです。自衛隊は、とにもかくにも用意周到な組織。ほとんどの隊員は、服装を常に端正に保つため、天気にも気を配っているんですよ。
イラスト:モノ
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