今回のガンレビューは新製品じゃありません。
数年前に発売されたICSの電動ガン、M1ガーランドです。
ガーランドといっても『メガゾーン23』の可変バイクとは関係ないですよ!
M1ガーランドといえば、WW2・朝鮮戦争でアメリカ軍が使用した軍用ライフル。制式採用は1936年です。
308winより強力な30-06弾を使用するセミオートライフルで、マガジンはなく8発ワンセットの装弾クリップを使うのが特徴。最終弾発射後のカチーン!というクリップ排出音でよく知られていますね。
なお、30-06弾は同じ7.62mmの弾丸の中でもかなり大型になります。
現在でも民間モデルが生産されており、根強い人気があります。
なぜ今になってM1ガーランドを取り上げるかといえば、ちょっと前に映画『地獄の7人』を見て「ガーランドかっこいいじゃないか!」となり、勢いでポチッてしまったからです。
劇中でガーランドの照準調整シーンがあるのですが、これがまた実にグッとくるわけですよ。分かってくれる人いますか?
他にも『プライベート・ライアン』や『バンド・オブ・ブラザーズ』などWW2映画では欠かせない銃器ですね。
さて、最近ではG&Gからも電動ガンが出ましたが、「サバゲでまともに使いたい!」との思いからICS製を入手しました(ICS製は装弾数42発、G&G製は20発)。
普段はAR系ばかりいじっていますが、実はこの手の「鉄と木でできた」クラシックなライフルは個人的に大好物なのです。
というわけで、ICSのM1ガーランドをレビューします!
◎外観
全長は1.1m、意外と長さがあります。ストックはオイル仕上げの木製で機関部などはほぼアルミ製。各部の質感も高く、満足度は高いのではないでしょうか。
当時の他国のボルトアクションライフルよりは太めですが、それでも現代のライフルよりはスラっとしたシルエット。実銃よりも部分的に太くなっているのは電動ガンという都合上、仕方ないのかもしれません。
写真はとりあえずということでAK用のスリングを付けていますがよく似合っていると思います。
◎ICS M1ガーランドのスペック
全長:1,110mm
重さ:3.65kg(マガジン込み)
インナーバレル:610mm
装弾数:42発
初速:86m/s(0.2g弾の10発平均)
モード:セミオートのみ
価格:59,400円(税別)
では各部をアップで見て行きましょう。
まずはマズル周辺。ぶっちゃけ、このあたりは実銃よりちょっと太いかな?という印象です(並べなければ分からないレベルかも)。
フロントサイトは左右調整式。インナーバレルはほぼバレル先端まで伸びています。
バレル下の十字の部分はガスシリンダー用のスクリュー。ICSのこのモデルではこのスクリューを緩めてフロント周りを分解します。
ハンドガード下部は切り欠かれていてオペレーティングロッドが見えます。
オペレーティングロッドは機関部のチャージングハンドルにしっかり連動して動きますよ。
そして先端下部には「スタッキングスイベル」というパーツが。
スリング用ではなく、叉銃(さじゅう)といわれる三角錐状に数丁の銃を組み合わせるためのもの。クラシックライフルならではの装備です。
機関部は後継のM14とよく似ています。
ぱっと見の質感はなかなか良いのではないでしょうか。
チャージングハンドルを引くとロータリーボルトのカバーが軽く回転してから後退します。
中にはHOPチャンバーがあり、ドラム式の調整ダイヤルがあります。
そして電動ガンならではの機構が着脱式のマガジン!
実銃でいう「クリップラッチボタン」がマガジンキャッチとなっていて、トリガー前部の黒いパーツがまるまるマガジンになっています。装弾数は42発。
リアサイトは上下左右の調整が可能。
頑丈な金属製で各ダイヤルのクリック感も◎。
スッと構えた時にピタッとくる狙いやすいサイトです。
サイトの後方にはモデル刻印があります。
手前のシリアルは1丁1丁違うそうで、自分だけの1丁となりえるもの。
ただ、そのシリアルはレーザー刻印なのか白っぽかったので、写真はブラックの塗料でスミ入れしてあります。
セフティはM14と同じくトリガーガード前にあります。
人差し指で押してパチンと解除できるのは便利ですが、慣れるまでは右手の親指をゴソゴソさせてしまいます。
トリガーリーチは遊びがややあるかな?という印象。できれば1~2mmツメたいと感じました。
トリガーユニットはワンタッチで取り外し可能。
特に配線がないので、意味もなくつけたり外したりできます。
ざっと見たところ、ここのかみ合わせでトリガーリーチをツメられそうです。
機関部の上面。
飛び出ているのはチャージングハンドルのみ。引っ掛かりがなくスマートです。
木製ストックはニスや塗装ではなくオイル仕上げ。
グリップのあたりはモーターが入る関係でちょっと太く、角ばって見えるかもしれません。
ストックはオイルを染み込ませて表面保護+着色しているため、購入後しばらくはオイルが染み出てくる可能性があります。マメに拭き取りましょう。
色自体は明るすぎず暗すぎず、適度な色調だと思いました。
パッドプレートのフタを開けてバッテリーを入れます。
実銃でいうクリーニングキット収納スペースですね。
ICSのガーランドにはセミオート専用モデルのためか、FETユニットが標準で搭載されています。そしてここに収まるバッテリーは多種多彩!
ミニバッテリーサイズはもちろん、セパレートタイプやPEQ用、AK用まで入りました!
サバゲ前日の充電大会でも手間はかからなさそうです。
マガジンは樹脂製の軽いもの。
本体には予備が1個、計2個のマガジンが同梱されています。
BBローダーで装弾してみたところ、最初はやや硬かったり詰まり気味でしたが、数回BB弾を通すとばっちりスムーズになりました。
なお、M1ガーランド用のカートリッジベルトには入りませんが、WW2スタイルにこだわらなければ40mmグレネード用のポーチにピッタリ入りますよ。
◎実射確認
では、いつものように屋内でターゲットを撃ってみました。
さすがにインナーバレルが610mmもあるためか、HOPが決まれば非常に安定した弾道です。
今回は100発ほどナラシとサイト調整をした後のグルーピングで、かなりまとまっています。
ちなみに今回の個体は国内向け正規品で特にどこも手を入れていません。
初速は85~87m/s。ほどよい感じで箱出しノーマルでも問題なく使えそうです。
ただし、BB弾の種類によってはチャンバーで詰まったり二重装弾になりやすく、またゆっくりトリガーを引くとバーストショットになることが時々ありました。
また、フルオートの撃てないセミオートオンリー仕様なので、もしトリガーロックが起こるとトリガーユニットを取り外して中のスイッチ部をイジることになります。
対策としてはハイトルクモーターに換装→モーターとギアの回転速度を上げて一気に動作させるといいのでは?と考えていますが、実際はどうなのでしょうか? 筆者の個体では幸いトリガーロックは発生したことがないので、意外と起こりにくい現象なのかもしれません。
とにかく、実射性能はほぼ文句なし!といったところです。
◎まとめ
数年前に発売された時は、初の電動ガーランドとして話題になりましたね。
ある程度の内部調整はした方がいいかもしれませんが、箱出しで(ほぼ)問題なく使えます。ICSの電動ガンって完成度高いんですね、驚きました。
WW2スタイルのゲーマーやコレクターが買うことが多いそうですが、筆者はあえて現代風の民間スタイルでサバゲに投入しようと考えています(イメージはゾンビ映画で生き残った人です)。
ARやAKなどとは違った個性的なスタイルを演出できるので、ちょっと変わった銃でサバゲを楽しんでみたい!という傾いた人はいかがでしょうか。
確かに長くて重くて、そしてフルオートで撃てないという欠点はありますが、ある程度サバゲ経験のある人にとっては意外と悪くない、いや、結構イイと思える電動ガンになりうるかもしれません。筆者もしばらくサバゲで使い込んでみようと思います。
◎オマケ~木製ストックの再仕上げ
デフォルトでも悪くない色合いのストックですが、現存するガーランドの写真を見ると、真っ黒になるくらい使い込まれたものがあって目を引きます。
こんな風にしたいかな・・・と思ったので、軽く手を加えてみました。
もともとオイル仕上げのICSガーランドなので、使用するのはWATCOのフィニッシュオイル。
一番黒い「エボニー」を使いました。
使用方法は簡単で、まずそのままペタペタとハケで塗り、30分ほどしたらボロ布で拭き取ります。
塗料じゃないので今回は分解せず、そのまま塗って拭き取りました。
いったん拭き取ったら再度塗布してまた30分後に拭き取り。そのまま半日~1日乾燥させればOKです。
で、2回ほど塗り込んで拭きとった後の仕上がりはこんな感じ。もう数回繰り返せばもっと暗い色調になるでしょう。
本来はペーパーをかけつつ塗布するそうですが、特にそのまま簡易的に塗り込んでもそれなりに暗い色合いになりました。
ちょっと勇気が要りますが、ついでにストックにガツガツとキズを入れれば、使い込まれた歴戦のガーランドのできあがり!
木製ストックならではのクラシック仕上げに挑戦してみてはいかがでしょうか。
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