皆さんがサバゲで主に使うのは「電動ガン」の「アサルトライフル」だと思います。サブマシンガンやハンドガン、あるいは大きなマシンガンという人もいると思いますが、アウトドアフィールドで見るとライフルのシェアは圧倒的多数。
ハンドガンだとじっくり狙っても当てるのは難しいですが、ライフルなら50m先の相手に1発でヒットさせることも難しくありません。
しかし、これはライフルを「ちゃんと構えて」「狙って撃った」場合の話。ちゃんと構えないと当たらないようにできているのです。
そこで今回は一般的なライフルの「正しい構え方」を紹介します。
正しい構え方、といってもサバゲーには教本などないので、イヌイが長年サバゲーをやっている経験から導きだした自己流です。これが絶対正しい!ということではないかもしれませんが、参考にしてみてくださいね。
この手の構え方(フォーム)はいくつかありますが、今回紹介するのはアメリカ陸軍のマニュアルを参考に、私イヌイが多少サバゲ向けにアレンジしたもの。世間一般的な構え方とほぼ同じもののハズです。
経験者の人には「何を今さら」という感じですが、デビューして間もない人は意識することで上達します。難しい話ではないので、「狙って撃ってるけど当たらないんだよなー」という人はぜひ参考に!
見本として軽量なAR(M4)を使います。射手は右利きです。
さて、まずこの状態がレディポジション。
右手首をグイッと曲げて持ち、左手はラクな位置を保持します。
ストックのバットプレート(肩に当てる部分)の下端を支点にして、回転させるようにマズル(銃口)を持ち上げると、そのまま射撃体勢に入れます。
右手の人差指は撃つ瞬間までトリガーに触れないようにしましょう。
さて、これが最も基本的な構え方。
オフハンドポジションといわれることもあります。
チェックポイントは下記の通り。
1:頭は可能な限り垂直に
利き目の関係もありますが、頭を傾けて狙うと銃もナナメになりがちです。
2:右手は脇を締める
ヒジが開いていると安定しません。
3:ストックへの頬付けはしっかりと
ほっぺたがムニュッっとなるくらい押し付けましょう。
4:バットプレートは肩の前面に押し当てる
反動がない電動ガンでもしっかりと引き付けます。
5:左ヒジも開き過ぎない
右ヒジよりは自由度がありますが、脇を締めるほど安定します。
6:左手はしっかりと握る
前後にスライドしてもOK。単に添えるだけでなく握り込んでも構いません。
ライフルが体と接しているのは「3」「4」「6」と右の手のひら。この4点で押さえて安定させます。
ただし、力を入れすぎるとプルプルするので、あまり力み過ぎないようにしましょう。
この構え方のポイントは左肩。
上半身は前傾姿勢で、自分の体の正面に対してではなく「左ナナメの方向に向けて構える」ことになります。「撃つ方向に左肩を向ける」ようにイメージして下さい。上から見て正面が12時の方向だとすれば、だいたい10時の向きになります。
左腕のパッチを相手に見せつけるような感覚でもOKでしょう。
ストックの肩付けはちょっとコツがいります。
写真のようにバットプレートの上から下まで全部を当てなくても大丈夫。反動のある実銃ならともかく、エアガンならこのやり方でも問題ありません。
体格にもよりますが、下半分を垂直に当てている状態が狙いやすく、頭も垂直を保ちやすいはずです。
左手の位置は持ちやすい場所を掴みましょう。
フォアグリップがあればそこを、写真のように細身のハンドガードであればそのまま握り込んでもOK。左ヒジがラクな位置を探してみましょう。
一般的に遠い位置を握ると取り回しやすく、近い位置を握ると安定する傾向があります。また、写真のように親指を上に置くと銃身を左右に振りやすくなります。
ピストルグリップを握る右手はとても重要です。
普通はどうしてもグリップの上側を握ってしまいますが、写真のように手首が急角度になりがち。トリガーをまっすぐ水平に引けるメリットはありますが、特に重いライフルで朝からずっとこの持ち方だと手首が疲れます。
そこでオススメはこの握り方。
タクティカル業界では数年前から一般化しつつある「できるだけグリップの下側を握る」という方法です。
多くのグリップは小指の指掛けがあるので、そこの小指を押し当てるように下に寄せてナナメに握ります。白い矢印の位置が空いてるのが分かりますか?
通常はこの状態で、しっかり狙う時は上側にズラすようにすると手首の疲れを抑えることができます。
なお、このように右手をズラす撃ち方には、角度が立っていたり細いグリップが向いています。
サバゲではニーリング(立膝の姿勢)を多用しますが、これもコツがあります。
右利きの人は普通右ヒザをつきます。つまり立てるのは左ヒザ。
この左ヒザの上に左ヒジを置くとライフルが非常に安定します。
バリケードがあれば、左手の甲や手首を押し当てるとさらに固定できてオススメ。じっくり狙える状況であれば、ぜひ試してみてください。
ボルトアクションライフルでも基本は同じです。
長くて重いスナイパーライフルでも構え方は変わりません。
むしろ基本がしっかりできていないとプルプルして相手に当たらないことも・・・。
写真ではさらに左ヒジをバリケードに置き、左の太もも~ヒザもバリケードに押し当てて、体全体で寄りかかって安定する姿勢をとっています。
最近では体の真正面で構えるスタイルもよく見かけます。
「コスタ撃ち」や「フォワードポジション」といわれるタクティカルシューティングでは一般的なフォームです。
ストックを短くして真正面(12時方向)に銃を向け、左手を真っすぐ伸ばしてハンドガードの前の方を握り込みます。
この状態で上半身がスイングでき、左右へ自由に撃ち込めるのが利点。
最初に紹介した基本的な構えでは左方向へ銃を向けるのが難しいことがあります(右足の踵を下げて体ごと回転させます)。
特に欠点はありませんが、若干上半身が不安定になりがちなのと、左手が疲れやすいことくらいでしょうか。
通常の構えとこの構えの両方を練習して使い分けられるとベストですが、最初は基本である「左ナナメに向ける」フォームをモノにしておきましょう。
さて、基本的な構え方ができたとして、実戦編もちょこっとだけ紹介。
バリケードシューティングの基本です。
まず、これが右利きの人の撃ち方。
バリケードの(自分から見て)右側から撃てば、こちらの露出は最小限で済みます。
同じ構え方で反対側から撃とうとすれば・・・
どうしてもこうなってしまい、体をほぼ全部出さないと撃てません。
これで反撃されたら目も当てられないことに。
どうしても左側から撃ちたい時はライフルを左手に持ち替えます。
タクティカルシューティングで多用される方法で、スイッチングやトランジションなどと呼ばれます。これなら右側と同じ露出条件で撃てますが、練習なしでいきなり実践するのはやや困難。
ちなみに、私イヌイのやり方はこう。
右手でグリップを握ったまま、ストックだけ左肩に押し付けて「左手に持ち替えないで撃つ」方法。「左側で撃つのはどうせ威嚇だから」と、省力化を重視したものです。
どちらのやり方でも慣れないうちはムリは禁物なので、バリケードの左側から撃つのは諦めるというのも悪くありません。
とにかく、利き手と反対側から撃つ時は注意しましょう。
今回はライフルの基本的な構え方と、より安定させて構えるコツを紹介しました。
ここまで何度も出てきたように、相手に当てるために大事なのは「いかにして銃を安定させるか」に尽きます。片手よりも両手、それに加えて肩とほっぺたで固定できる「ライフルがよく当たる」のは当然なわけです。
ビギナーの方は今回紹介した「左ナナメへの構え方」だけでも意識してみて下さい。基本中の基本なので、最初は慣れなくてもすぐできるようになります。
今回、紹介した基本の他に、状況によってさまざまな構え方があります。
まずは基本を覚えたら、YouTubeの動画などを参考に他の構え方を試してもいいでしょう。
サバゲでは「狙って撃って当てられるようになれば中級者」といわれます。
ぜひ練習してモノにして下さい!
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