小ネタから裏話まで!「ジャンクハンター吉田のアクション映画再評価」~エディ・マーフィ編その1

ここのところエクスプレスな執筆ワークがさまざま飛び込んで来て、数か月もコラムをストップさせていましたが・・・ようやく復帰いたします。
アクションに触れるとネタは山ほどあるのですが、今回からは数回に分けて「コメディ要素のあるアクション映画」をピックアップしてみようと思います。

中でも「アクション映画=刑事もの」が特に分かりやすくオーソドックス。もっと幅広く「洋画」に触れて頂きたいこともあり、ヒストリカル的に『ビバリーヒルズ・コップ』から、というかエディ・マーフィにフォーカスを当てないといけません。
近年のエディ・マーフィといえば『シュレック』でドンキー役の声優をしたり、動物と会話ができる特殊能力を持つ『ドクター・ドリトル』シリーズで人気が再燃しましたが、彼の原点はやはりコメディアン。
軽妙なマシンガントークを売りにしている部分から、表現者としてもボディランゲージを使う演技より、セリフ回しの面白さを重要視してました。もちろん英語やスラングが分からないとエディのトークの魅力は半減してしまいますが、世界中で大ヒット、その後パート3まで作られた出世作『ビバリーヒルズ・コップ』が彼のハリウッドでのポジションを決定付けたことで、コメディ俳優路線をブレずに進み始めたのです。

1982年に公開されたウォルター・ヒル監督の『48時間』(1990年の続編は恩返しとしてエディも出資)にて、服役中の囚人レジー役でスクリーンデビュー。
ニック・ノルティ演ずるタフガイな刑事ジャックに協力して捜査に関わる主役を演じ、コミカルな演技力と独特のセリフ回しがフランク・マンキューソ・Jrを含む当時のパラマウント・ピクチャーズの重役陣から大絶賛され、パラマウントと5本分の出演契約を結びました。さらに『ビバリーヒルズ・コップ』の大ヒットで新たに5本分の出演契約を交わし、パラマウント専属俳優と揶揄されるぐらいのドル箱スターへ駆け登っていったわけです。

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ウォルター・ヒル監督がテレビの『サタデー・ナイト・ライブ』でマシンガントークしていたエディに惚れ込み、エディらしさを出すために脚本まで書き換え、演技経験がないのにゴリ押しで起用。パラマウントの重役連中も最初は演技素人という部分で不安でしたが、『サタデー・ナイト・ライブ』出身のコメディアンを自社作品へ多く起用して成功例もあったことで『48時間』の製作は博打に出ました。
ジョエル・シルバー、ローレンス・ゴードン、スティーヴン・E・デ・スーザという後の『ダイ・ハード』製作チームが本作で最初の顔合わせだったこともあり、刑事と囚人のバディムービーは見事に大傑作な映画へと昇華!

撮影前はオーディションで主役の座を勝ち取ったニック・ノルティだけが、素人で監督からの推薦起用だったエディへ敵対心を見せていたそうですが、それが上手く演技に現れています。

アクション、サスペンス、コメディという三要素からなる『48時間』は、関係者だけではなく、1982年当時は今までにないバディムービーのスタイル。観客からの評この撮影中の現場からエディの評価はパラマウントのスタジオ内へ知れ渡り、お笑い好きのジョン・ランディス監督からのラブコールに応え、『48時間』撮影終了後すぐに『大逆転』でダン・エイクロイドと共に再び主役の座につきます(1983年公開)。

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南カリフォルニア大学でジョージ・ルーカスの1年後輩、なおかつ『アメリカン・グラフィティ』から一緒に仕事をしていたウィラード・ハイクがロバート・グロスバックの原作を脚色して仕上げたミリタリーコメディの脚本を書き上げ、パラマウントへ売り込んだところ企画が通り、ダドリー・ムーアの主役が決定していた中でパラマウントからエディを売り込まれ、1984年公開の『おかしな関係』では三度バディムービーでダブル主役を演ずることになりました。

エディの快進撃は止まりません。
気取らない性格が現場スタッフからの評判も良く、休みなく働き続けるエディは遂に単体で主役の『ビバリーヒルズ・コップ』に起用されるのでした。

次回、いよいよエディの真髄について解説! アクション映画ファンは期待して待て!

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ジャンクハンター吉田

ジャンクハンター吉田
書籍『ゲームになった映画たち』シリーズ(三才ブックス、マイクロマガジン)の著者であり、ゲーム・映画のコラムニストとして活動するかたわら、体を張ったフリーのジャーナリストとして数々の無茶ぶりなオーダーもこなす。殉職したらロボコップ計画へ自分の身体をドナーとして全て提供するつもり。

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