【連載/人×サバゲー】◆第4回◆SG-FASHION-SNAP.COM代表 飯田佳史氏〜ファッションを切り口にサバゲーの裾野を拡げる〜

サバイバルゲームは日本発の素晴らしいカルチャーだ。 エアガンカスタム、装備の収集、ゲーム技術向上、ハマる要素は盛り沢山。 そのなかでも着目したいのは「サバゲーマー=人」。 この連載では色々な「人」をフューチャーし、様々な立場からの視点をふまえて、新しいサバゲーの魅力を伝えていく。

連載第4回:SG-FASHION-SNAP.COM代表 飯田佳史氏
「ファッションを切り口にサバゲーの裾野を拡げる」

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◎サバゲーの新しい可能性を探る

ここ1年くらいでサバゲーを取り巻くイメージが少し変わって来たように思う。数年前はかなりニッチな趣味かついわゆるマニアの世界だったものが、プレイ人口が増加するとともに女性も増え、自治体などが町おこしや観光誘致の手法にサバゲーを選択肢に加え、楽しみ方も多様化して来た。
その流れに少なからず影響を与えているのがサバゲーのファッションシーンを切り取って写真で情報を伝えて行くSG-FASHION-SNAP.COMである。

SG-FASHION-SNAP.COM 〜サバゲーファッション・装備専門のスナップフォト型Webマガジン〜

ー今回、改めて代表の飯田氏にサイトについて色々話を伺ってみたいと思う。
まず、SG-FASHION-SNAP.COMをはじめたきっかけは何だったのか?

自分がサバゲーにハマり、素晴らしいアクティビティだと感銘を受けたことが一番のきっかけですね。自分たちでも何か発信していきたいな、と。でも、エアガンや装備の情報を載せているブログもサバゲー関係のメディアも他に素晴らしいものが沢山あります。その中で、自分には何ができるんだろうと考えたときにグラフィックでサバゲーファッションを伝えることなら(できるかもしれない)と。初めてサバゲーに行ったときに、「サバゲーって想像以上にファッショナブルでスタイリッシュ!カッコいい!」と素直に思ったんです。
それから、自分がサバゲーをはじめたときに困ったのが「どのパーツをどんな風につけたらいいかわからない!」ということ。人がどんな風に装備を取り付けたり、コーディネートしたりしているのか見たかったというのもあります。

飯田氏は学生時代写真を専攻、勉強した。社会人になるとJ-WAVEのラジオ番組映像制作やWEBの企画制作などを仕事に選んだ。一貫して「人に見せるもの」に関わっているその経歴から導きだされた手法はサバゲーが持つ新しい可能性を引き出す一端を担っていると感じる。その可能性が何なのか、詳しく探って行きたいと思う。

◎サバゲー×ファッションの効能

SG-FASHION-SNAP.COMのWEBサイトはホワイトを基調としたデザイン。ミリタリーからはかなりかけ離れているイメージだ。
そこに、フィールドで、目に留まったファッションやアイテムを、男性、女性、ミリタリーユニフォーム、そしてエアガンという4つのカテゴリー に分けて淡々と掲載し読者に見せていく。文章も説明文も最小限だ。ズバリ、SG-FASHION-SNAP.COMのミッションとはなんなのか?

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ファッションを入口としてサバゲーの新しい楽しみ方を提案し、裾野をひろげることですね。
まず1つ目に皆さんに提案したいのはサバゲー=全身BDUじゃなくてもいいんだよということ。刑事ドラマが好きならスーツに革製のサスペンダー、ジョン・ウー映画が好きなら2丁拳銃、そんな風に自分の趣味やこだわりを持ち込んで主役になるのもサバゲーの楽しみの1つだと思います。

2つ目に提案したいのは、ビギナーの方の目標になるような装備。カジュアルな装備を推奨しているように思われがちなのですが、実はいわゆるガチ装備の人々はとてもリスペクトされるべきだと思っています。
今年始めに開催されたSGF AWARD 2014のMilitary Uniform部門で表彰されたFireballさんなんか凄いんですよ。装備の年代まで細かく調べて、よりリアルなものを追求する為に既存のアイテムをご自身でカスタムしたりしているんです。誰もが彼のレベルで装備を揃えられる訳ではないけれど、憧れの対象の1つとして見せて行ければいいなと思っています。

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Fireballさんの装備

確かに、今のサバゲーカルチャーを作って来た先人達のこだわりや知識、クオリティには筆者も度々感銘を受ける。そういったいわゆる「ガチ装備」から「カジュアルサバゲーウェア」といえるようなものまで掲載する写真の深度にはかなりの幅を持たせている。 しかし、一貫していえるのはどの写真も「カッコイイ」ということ。SG-FASHION-SNAP.COMが「撮りたい!」と思うコーディネートや人物像はあるのか?

普段着のように着こなしている人はやはり目に留まりますね。一番撮りたいと思うのは自分のスタイルをしっかり持っている方。ダースベーダーが好きで、普段から真っ黒の上下着ている方いらっしゃるんですけど、そんな感じの。
沢山の方を撮影させて頂いているのですが、最近印象に残っているのは、全身スカルで統一していた方でしょうか。
それから、やっぱりサイズ感が大事だと思うんです。最近は日本人の体型に合ったモノも発売されだしましたが、基本的に海外製のBDUはサイズが大きい物が多いので日本人の体型だとブカブカになってしまう事が多いと思います。自身の体型に合ったBDUを着こなしている方を見ると「スタイリッシュだな」と思います。

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COMOLEBIさんのスカル装備

サバゲーのファッションシーンをいかにかっこ良く見せるか、を追求しているSG-FASHION-SNAP.COM。飯田氏も自らフィールドに出向き取材をするが、そのセンスはどこで培われたのか。自身のファッション遍歴について聞いてみた。

中学校2年生の頃にスケボーが流行って、3年生の頃にヒップホップが流行りました。どちらもやってはいませんが(笑)流行したもののエッセンスをファッションには取り入れていましたね。僕は高校1年からオーストラリアに10年住んでいたんですけど、あちらは日本と比べて「このブランドが(流行っている)」、という流れがありません。なので映画などを観てカッコいいと感じた登場人物の服装なんかを真似ていましたね。フロムダスクティルドーンのジョージ・クルーニーを見て、カッコいい!と憧れてスーツを着て学校に行ったり(笑)。

飯田氏は、カルチャーをファッションに取り入れる事や、コスプレ感覚に近いファッションチョイスなど、現在のサバゲーファッションに通じるところは元来持っていたのだな、と思う。最近、取材先でSG-FASHION-SNAP.COMに掲載されたサバゲーマーが他のサバゲーマーにツーショットを求められているのを目撃したり、海外からのアクセスも上々だ、といったような話を聞くと、サバゲーファッションのオーソリティとしての地位を着々と築いているように見える。これは、そんな飯田氏ならではの着眼点が、多くのサバゲーマーの共感を呼んでいる証拠だ。ここまでの話を聞きながら、サバゲー×ファッションの効能は、サバゲーをよりスタイリッシュに、そしてより一般的に楽しめるカルチャーへのブランディングというところにあるのではないかと感じた。

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◎とことん「カッコいい!」にこだわる事で見える未来

冒頭で、サバゲーを取り巻くイメージが変わって来た、と述べたが、SG-FASHION-SNAP.COMが思い描くサバゲーの将来像にも興味がある。

よりカジュアルに、スポーツとしての認知を拡げて行きたいですね。イメージ的にはスノーボードに近い。スノーボードとウェアがエアガンとギアに置き換わるイメージです。これは、ヒット判定の明確化ができる技術やルールの整備も必要になってくると思いますが、最終的にスノーボードのX-TRAILのようにスポンサーがついて賞金がでるような公式イベントができるようになったらいいですね。プロサバゲーマーがそれで食って行ける、みたいな(笑)

サバゲーウェアに車の名前や清涼飲料の名前が入り、実況が付き、CATVなどで中継される、なんて事になったらかなり面白い。

その為には、まずはもっと手軽にサバゲーが楽しめるようになったらいいですね。プレイ人口が増えればそれだけ可能性も大きくなります。
僕たちできることといったら、手持ちのアウトドアウェアや普段着を流用してもっとカジュアルに気楽に楽しめる事を広く伝える事。と同時に、憧れをもってファッションから入ってくれる人が1人でも増えるように、サバゲーってかっこいいじゃん!と思ってもらえる情報を発信することです。

その方法はスナップ写真の掲載だけに留まらない。

最近、ミリタリーイベントでファッションショーをプロデュースするという機会を頂きました。ただのファッションショーをやっても面白くないと思い、ストリートダンスとミリタリーファッションを融合させたショーを行いました。

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ダンスも、ライフルドリルを取り入れたり、2種類のBDUを着た3on3のショーケースバトルをやったり・・・。サバゲーをかっこ良く見せることに関しては、スナップ写真の掲載以外にも意欲的に取り組んでいきたいです。

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さらに飯田氏は今後の展望についてこう続ける。

今僕たちがサバゲーを楽しめているのは、このサバゲー業界を支えている方々のおかげだと日々思っています。実は、2015年は普段の活動に加えてサバゲー業界の方々をドキュメントとして残して行きたいと思っています。エアガンメーカーの方、日本のギアメーカーの方、メディアの方、サバゲーフィールドの関係者の方など・・・・。

サイトを見てみると実際にフィールドを運営している方の写真が掲載されていた。撮影用の服装ではなく、普段のままのエプロン姿だ。

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サバゲーフィールド「RAID(レイド)」 Takeishiさん

そしてこちらは日本シェアNo.1のエアガンメーカー、東京マルイの広報・島村さん。島村さんは西部警察などの刑事アクションドラマが好きで、サバゲーもスリーピーススーツで行っているそう。

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東京マルイ 広報 島村さん

取材中、飯田氏が繰り返し口にするのはサバゲーを取り巻く人々への感謝と尊敬。ファッションに振り切ったサイトや、ダンスを取り入れたファッションショーなど一見現状のサバゲーとは対極にあるように思えるが、どうにかそこに新規プレイヤーをつなげようと新しい見せ方を模索しているのがSG-FASHION-SNAP.COMなのかもしれない。

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既にサバゲーをやっていらっしゃる方は、装備選びや買物の際にSG-FASHION-SNAP.COMを参考にして頂けたら嬉しいです。これからサバゲーを始められる方に言いたいのは、「どんな格好で参加しても楽しいんだよ!」ということです。とにかくまずはサバゲーに興味を持ってもらいたいですね。

これまでもサバゲーには色々な入口があった。エアガンが好き、映画が好き、ミリタリーが好き、仲間とワイワイするのが好き、とにかく勝ち負けにこだわるアクティビティが好き・・・・。SG-FASHION-SNAP.COMが作ったサバゲーへの入口はこういった既存のものとはちょっと方向性が違う。ファッションから入る、という選択肢を作る事は、飯田氏が影響を受けたスケボーやHIPHOPのように、サバゲーというカルチャーそのものを1つのファッションジャンルとして確立させる壮大な取り組みの第一歩だと思う。
サバゲーはあまりやらないけど、ミリタリーギアを身につけて街を歩く・・・そんな若者を見かける日も遠くないかもしれない。そのとき、サバゲーの認知度や注目度は今よりも格段にUPしているはずだ。

取材協力/画像出典
SG-FASHION-SNAP.COM

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サトウ トミ

さばなび編集部女性ライター第一号。ゆるい記事から真面目な記事まで独自の視点で”サバイバル”を伝えていく。インタビューが生き甲斐で、サバゲーマー=人の魅力に興味津々なアラサー。サバゲー歴は3年程度だが最近のメインウエポンは専ら拡声器。

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