世に電動ガンは多々ありますが、基本的にリアルさよりBB弾の射撃性能を重視したものがほとんど。内部構造までリアルなものが欲しければ、「ガスブロやモデルガンを選ぶ」というのがお約束です。
とはいえ、最近では電動ガンでもリコイルショックを再現したり、ボルトストップによる動作停止など実射面でリアルっぽいモデルも増えてきました。中身が電動ユニットなので独自になってしまうのは仕方ないとしても、外観のリアルさに加えて撃ち味をウリにしているワケです。
今回紹介する「MG42 AEG」は、外観の再現性に高い評価のあるショウエイ製。同社の製品はそのクオリティによって海外の博物館が展示用に買うほどのリアルさがあり、このMG42 AEGも一見すると「実銃?」と思えるほどの仕上がり。名作「MG42 ガスガン」の中身をそっくり電動ユニットへ入れ替えたモデルになります。
実銃のMG42については今さらですが・・・。
WW2でドイツ軍が使用した多用途機関銃でMG34の後継機。グロスフスやマウザーなどいくつかの工場で生産され、プレス加工を多用した高い生産性とローラーロッキングシステム、1,200rpmといわれる高速連射が特徴です。
映画『プライベート・ライアン』冒頭の上陸シーンでハデに発砲していましたね。
また、戦後生産タイプのMG3は現在でもドイツ連邦軍で使用されています(装甲車両の車載銃器が多い)。
ショウエイのMG42 AEGは独自開発の電動ユニットを内蔵し、発射時のリコイルはかなりのもの。アルミ製の巨大なピストン直結ハウジングがバキンバキンと前後します。
外観のリアルさについては言うことないレベルでしょうが、その実射性能はどうなのでしょうか。気になっている人も多いのでは?
というわけで、このガンレビューでいろいろと探ってみました。
●ショウエイ MG42 AEGのスペック
全長:1,220mm
重さ:7.3kg
インナーバレル:390mm
射撃モード:フルオートのみ
バッテリー:ストックに収納
装弾数:約150発(多弾数マガジン)
初速:89.2m/s(0.2g弾の平均)
価格:215,000円(税別)
●全景
長さが1.2mもあるとさすがに長いですが、マシンガンにしては細身なので意外と取り回しやすい印象。重さが実銃の約半分なので相対的には軽いということになるのでしょう。
外装の各パーツは基本的にアルミ素材のプレス加工。フィードトレイやバイポッドはスチール、グリップ周りなどは亜鉛合金製です。
実銃はもちろんスチール製ですが、これをそのままアルミに置き換えたような印象で、それほど詳しくない人が見ても「リアルだね」と思うはずです。
●バレル部
独特な四角いバレルジャケットがMG42の外観上の大きな特徴です。
●マズル
発射ガスの拡散とマズルブラストを押さえるリコイルブースター。
黒染めの亜鉛合金製で薄さやシャープさがよく再現されています。
●バレルジャケット
放熱用にガバっと穴の空いたバレルジャケット。2.5mm厚アルミのプレス加工品で、厚みもほぼ実銃通り。表面は焼付塗装の仕上げです。
これがショウエイの工場にて加工された同部品。
この後、溶接と塗装を行うそうです。
●バレルチェンジ用のクランプ
発射速度の高いMG42はバレル命数が短く、その分簡単に交換できるようになっています。
電動ガンでは意味のない部分ですが、この奥に・・・
可変HOPの調整ダイヤルがあります。奥に指を突っ込んでグリグリと調整しましょう。
なお、アウターバレルは実銃に比べてかなり細身になっています。
●フロントサイト
可倒式のフロントサイト。
クリックはやや固めですが、節度のいい動きです。
●リアサイト
Vノッチが可倒式+2,000mまでの目盛が付いたアジャスタブルタイプ。
写真のように対空用の照門もついています。
●バイポッド
しっかりとしたスチール製のバイポッド。開脚具合を調整できるノブが中央にあります。
本体への取り付けは実銃通りワンタッチです。
しかし、ここのロックが異様に固くて大変です。
ショウエイの中の人いわく「実銃と同じテンションにしちゃいました」とのこと。脱着で指先が痛くなります。
●機関部
こちらもアルミ製で、フィードカバーも同じくアルミ製。リンク排出口からマガジンとメカボックスが見えます。
なお、電動バージョンのMG42ではコッキングハンドルは動きません。強引に引くと破損するので要注意です。
●エジェクションポート
下方排莢のMG42はここにエジェクションポートがあります。
銀色のメカボックスと、脇に小さくメーカー刻印が見えますね。
●フィードカバー
最もよく動かすであろうパーツがこのフィードカバー。
アルミ製ですがきちんとしたプレス加工で、リブやリベットの位置が完璧に再現されています。
MG42 AEGはマガジンが内部に入るため、交換時は必ずここを開ける必要があります。
●グリップ部
想像以上に小振りなグリップ部。左右に貫通タイプのセフティボタンがあります。
実銃と同じ亜鉛合金のブロックに、トリガーやセフティまわりの部品が収まっていて、
グリップパネルは樹脂製。
●逆転防止ラッチ解除レバー
機関部側面のネジは、左右両方とも前から4番めだけダミー。そして左側(給弾側)は中がくり抜かれています。これは・・・。
付属のマイナスドライバーを突っ込んで反時計回りに回すと逆転防止ラッチを解除可能。フルオートしか撃てないMG42なので、ここで解除してピストンを前進状態に戻せるのはありがたいですね。
●バットストック
実銃と同じく樹脂製のストック部。実際には木製もあったそうですが、テカテカしたなめらかな表面はベークライトっぽい仕上がり。
中はバッテリースペースになっています。
ミニバッテリーサイズまで収納可能。
バットプレートはマイナスネジによる取り外し式です。
●マガジン
MG42 AEGの大きな特徴なのがこのボックスマガジン。フィードトレイのこの位置にスッポリと収まります。
多弾タイプの強制給弾方式で装弾数は約150発。
別売りもあるのでいくつか揃えておきたいところですね。
アルミの削り出しでガッチリとした作りです。
ドラムマガジンじゃないので写真のようにベルトリンクを装着できます。
●メカボックス
機関部に収まるのがオリジナルのメカボックス。アルミ削り出しのパーツを組み合わせたもので、盛大な音とリコイルを生み出します(詳しくは後述)。
ギア部の上下が開放式でゴミやホコリの混入が心配ですが、フィードカバーを閉じている限りはそれほど問題ないのでしょうか。
●RWA MG34との比較
以前にレビューしたRWAのMG34と並べてみました。
さすがに似たような外観ですが、特にMG42は各部が「あぁ、ここはこうなってるんだ」と実感できるほど作り込まれています。
両方とも重さもサイズもだいたい同じような一方、ドラムマガジンのMG34は装弾数が約1,500発。サバゲで使うのならMG34の方が単純に有利かもしれません。リアルさや完成度でいえばショウエイ・MG42 AEGの圧勝といえるでしょう。
さて。
今回はMG42 AEGの分解方法を説明しちゃいます。
中身が気になっている人、けっこういますよね?
簡単な調整や補修は自分でできるとイロイロとラクになりますよ!
1:ストックを外す
機関部下面のロックボタンを押して時計回りに90度回転。これだけで後方へスルッと引き抜けます。
ただ、配線とバッテリーコネクタには注意しましょう。
2:フィードカバー・フィードトレイを外す
両方を垂直に起こすと左側にピンが抜けます。
これでカバーもトレイも取れます。
3:グリップ部の脱着
右側にある松葉ピンを抜くと反対側へピンが抜けます。これで・・・。
グリップまわりがゴソッと下に抜けます。
トリガーはマイクロスイッチ(オムロンの「SS-5GL」)。配線はギボシ端子なので引っ張れば外せます。
4:メカボックスの脱着
機関部左右のネジを緩めましょう。両面とも前から4番めはダミー、一番前はチャンバー固定用なので緩めるだけでOK。
これでメカボックスを後方に下げつつ斜め上に引き抜けます。
重さがあるので落っことさないよう注意しましょう。
取り出したらモーター部の配線をこの段階で抜いておくといいです。
5:メカボックスの分解
これがショウエイ独自のメカボックス。
電動ガンの汎用パーツをうまく使って構成されています。
前から「シリンダー部」「ギアユニット」「モーター部」に分かれます。
まずはモーターマウント後方の3本のネジを抜きます。
これでモーターのエンドマウントとモーターが抜けます。
ちなみにこのあたりのパーツは全部自社にて削って作っているそうです。
ギアユニットとつながるネジとピンを抜きます。
これでメインスプリングによってモーターマウントが抜けるはず。
なお、メインスプリングは装着方向が決まっています
組み付け時は間違わないよう注意しましょう。
ギアユニットの分解
ギアユニットは上下開放タイプで左右から分厚いアルミ板で組まれており、写真の4本のネジを外すだけで分解可能。
メインスプリングを抜いてあるので部品が飛び散る心配はありません。
ギアはSHS製の18:1のものが組み込まれていました。
ちなみにタペットプレートはM4用の加工品。
ギアではなくピストン(ラックギアハウジング)に連動して可動します。
そのラックギアハウジングがこれ。
アルミ製で重量感があり、ニッケルメッキ+テフロンコーティング仕上げ。これが高速で前後すれば、そりゃあすごい衝撃を発生させるわけです。
MG42 AEGのキモともいえる重要なパーツです。
組み立てのポイント
上記の手順をそのまま逆に行えば問題ありませんが、逆転防止ラッチのスプリングが外れやすいので要注意。写真のようにドライバーなどで押さえながらギアユニットのカバーを乗せましょう。
あとは外したネジやピンを締めていくだけで元通りになるはずです。
●実射テスト
リコイルショックに期待しつつ撃ってみました。バッテリーは7.4Vのリポバッテリーが推奨品。ストックに収まるミニバッテリーサイズがオススメです。
ボックスマガジンを込めてトリガーを引いてみると・・・。
バキバキバキッ!とものすごい金属音とともに手と肩に伝わる衝撃が!
ガスブロの長物より衝撃があります。これはすごい。
初速は89~91m/s、サイクルは12~14発/秒。
実銃ほど高レートではありませんが支援火器の機関銃としては十分なものでしょう。
そしてグルーピングはこんなかんじ。
正直、リコイルでブルブル震えるので集弾しにくいですが、弾道自体は素直で伸びのある飛び方。むしろショットガン的な散布界で弾幕を張るのにピッタリだと感じました。
これで発射サイクルがもうちょっと早ければ・・・と思ったら。
ショウエイさんでは11.1Vリポを使うハイサイクルバージョンをテスト中だとか。現状では1,000rpm(約17発/秒)でそれなりの耐久性を確保できているそうです。
近いうちにハイサイクルバージョンのリリースや改造受け付けが開始されるかもしれません。MG42ならではのハイサイクル射撃に期待したいですね。
●まとめ
このように、外観のリアルさだけでなく、動作音とリコイルショックという付加価値があるショウエイのMG42 AEG。
確かに20万円オーバーという高価なもので、サバゲでガンガン使うにはもったいない面もあります。しかし、その撃ち味は一回体験すると忘れられません。「マシンガンはこうじゃなくちゃ!」という満足感が非常に高いです。
実際、サバゲで使うには重かったり装備を選ぶという問題はありますが、これほど撃っていて気分がノッてくる電動ガンはそうありません。
確かに高価ではありますが、それだけの価値とそれ以上の所有感を満たせる、電動ガンの傑作の1つだと思います。
※ショウエイさんでは同社のガスガンMG42ユーザーに対して、電動ガン化の改造を受け付けています。加工費+パーツ代込で13万円。
電動ガンからガス仕様に戻すことも可能なので、物置で死蔵しているMG42ガスガンをお持ちの方は、電動ガン化を考えてみてはいかがでしょうか。
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