ついに発売されたS&Tの電動ガン「64式小銃」。
なぜ海外メーカーが自衛隊の銃をモデル化したのかは謎ですが、むしろそのリリースを心待ちにしていた人も多いことでしょう。
今回のガンレビューは、期待値が異様に高い(と思われる)、この64式を取り上げてみました。
実銃の64式7.62mm小銃は、1950年台に豊和工業が開発したといわれている国産自動小銃。
陸海空の自衛隊と海上保安庁で使われています。陸自では後継の89式小銃への更新が進んでいますが、後方支援部隊や海自、空自では現役で使われている息の長い小銃です。
S&Tの64式では機関部の刻印(陸自仕様?)もバッチリ再現されています。
自衛隊好きでなくとも、ちょっと気になっている人も多いのではないでしょうか。また、現役や予備自衛官などで実際に触ったり撃ったことのある人もいるでしょう。
「どうかなー?」と気になってる人は、ぜひ購入の参考にしてください。
●S&T 64式小銃のスペック
全長:995mm
重さ:3.27kg(マガジン込み)
インナーバレル:約480mm
装弾数:380発(多弾数マガジン)
初速:92.4m/s(0.2g弾の10発平均)
価格:65,000円(税別)
●外観
木製グリップ・ストックを装備し、スラっとしたシルエットの64式小銃。S&Tの電動ガンでもちゃんと木製部品が使われています。
ザッと見る限りはちょっとストックが太いかな?
でも独特なシルエットをよく再現していると思います。
全長はほぼ1m。決して短くはありませんが、日本人の体格に合わせて設計されたといわれるだけあって、構えてみるとピタッと決まります。
●フロント部
7.62mm仕様にしてはスリムなフロント周り。ハンドガードにめり込むように折りたたまれるバイポッド(長さ調節機能はナシ)が大きな特徴です。
●ハンドガード
実物は上半分がFRP(カーボン系?)、下側がアルミ合金だそうですが、S&Tのものも上部が樹脂製で下部はアルミ製。
非常に細身で握りやすいハンドガードです。
●マズル
こちらも異様に細いフラッシュハイダー。アルミ製です。
着剣ラグの部分にネジ止めされており、このネジを外すと14mm正ネジが出てきます。
ちょっとピッチが浅いためか14mm正ネジのハイダーでも付くものと付かないものがありました。64式を買ってハイダー交換する人はいないと思いますが、もしサプレッサーなどを付ける場合は要注意です。
●フロントサイト
折りたたみ式のフロントサイトはロックボタンや調整機構が一切ナシ。
一応、スプリングによって(ある程度)固定しますが、気が付くとすぐ倒れているのは実銃通りだそうです。
構えてみると、照星が小さくて狙いにくい印象。
●ガスレギュレータ
ダミーで無稼働です。
●バイポッド基部
アルミ製のバイポッドは89式と違って取り外しできません(ハイダーを外せば抜けます)。しかも、たたんだ状態でハンドガードに固定できないのでプラプラします。
ちょっと不便に感じますが、これも実銃通りなので仕方ありません。
バイポッド基部のピン抜け防止リングに違和感を感じますが、これも(だいたい)実銃通り。
丸いリングが ↑ 見えますね。
●レシーバー
S&Tの電動ガンではアルミ製。アッパーは左右分割のモナカ構造でけっこうなスキマがあります。一方のロワーは一体成型。
何かすごくのっぺりと見えますが、これもだいたい実銃通りみたいです。
●エジェクションポート
真上に突き出たコッキングハンドルを持つダミーボルトはスチール製の可動式。
中にはドラム式のHOP調整ダイヤルがあります。
ボルトストップはありませんが、引いた時の「チャキン!」という金属音は気分が盛り上がっていい感じでした。
●リアサイト
フロントと同じくロックボタンのないリアサイト。実銃では撃っていると反動で倒れることもあるとか。エアガンでもすぐ倒れそうなくらい起立時のロックが甘いです。
上下調整はピープ部で、左右調整は基部によって行うフルアジャスタブルタイプです。
なお、この写真だとアッパーの合わせ目がよく分かりますね。
●グリップ
ちゃんと木製・・・なのはいいのですが、いかんせん太すぎ、そして四角すぎるピストルグリップ。真下から見るとほぼ正方形の断面です。
モーターを内蔵するため仕方ないのですが、これはちょっと残念ポイントかもしれません。
●セレクター
64式独特のセフティ・セレクターレバー。
実銃では引っ張って持ち上げてから回転しますが、S&Tの電動ガンでは単なる回転式。操作性はそこまで悪くありません。多少ガタはありますが、指の長い人ならトリガーフィンガーで切り替えられると思います。
●チャンバー部
マグウェル部から見たHOPチャンバー。
銀色の部品はマガジンからの給弾用ガイドプレートです。
●ストック
固定ストックにしてはかなり短いストック。このあたりが日本人向けというサイズなのでしょうか。バッテリースペースのためかエグレがなくちょっと太めですが、仕上げはキレイでよくできていると思います。赤っぽい色味も実銃っぽいですね。
ショルダーレストの下にはバッテリースペースが。
フタを外すと内部にミニバッテリーまで収納可能。ヌンチャクタイプのリポバッテリーもいけます。
ただ、このフタが異様に固く、取り外しは大変です。
●マガジン
本体付属は380連の多弾数マガジン。外装はスチールで給弾口が後方にあるのが変わっていますね。当然ながら他と互換性はありません。
別売で140連のスプリング給弾マガジンもあります。
そしてこのマガジンがクセモノで・・・
装着時にキャッチ固定部を中心にして前後にカタカタ動きます!
ただ、これでもきちんとキャッチがかかっていれば給弾して発射でき、落っこちることはありません。
これはいかんともしがたいような・・・。
※追記
この記事の掲載後、しばらくしたらマガシンの固定が深くなり、マガジン装着時の前後ガタが減少しました。現在では上の写真の「前端に振れる量」の半分くらいに収まっています。おそらくマガジン側の前後キャッチ部や給弾口のストッパーがこなれたためでしょう。
完全に解消したわけではありませんが、慣れれば気にならないレベルです。
この64式を入手したらまずマガジンの装着具合を見て、必要であれば微調整を行うことをオススメします。
●構造図
今回のレビューはお借りしたサンプル品で分解できなかったので、付属マニュアルにあった構造図を貼っておきますね。
これを見る限り、メカボックスはG36タイプのモーターマウントの付いたver.3系のように見受けられ、トリガーユニットはマイクロスイッチ。分解や内部調整は問題なくできそうです。
●実射確認
実際に撃ってみましょう。
メカボックスが未調整なのでノイズが多少ありましたが、グリップ底部のイモネジを調整するとだいぶ解消できました。これ以上の調整はメカボックスを開けないと難しいようです。
なお、この個体は初速は92~93.5m/s。
ロングバレルのおかげか、けっこうパワーが出ていました。
しかし、集弾性は正直イマイチで・・・
リアサイトの固定が甘くて狙いにくいのとHOPパッキンが固いせいでしょうか。チャンバー周りに手を入れればもっとまとまるはずです。
インナーバレルは500mm近くありバイポッドも標準装備なので、しっかり調整すればバシバシ当てられる電動ガンに化けるでしょう。
●まとめ
全体的なルックスは悪くなく、誰が見ても「64式ですね」というはず。
細部に多少気になる点がありますが、64式小銃の電動ガンが誰でも購入できる様になったというのは嬉しいですね。かつてあったTOPのやつはプレミアついちゃってますからね。
メカボックスや内部も手を入れれば、それなりの性能を発揮してくれるでしょう。素性は悪くありません。ただし、マガシンのガタに関しては気になっちゃうかも・・・。
決して安くはないエアガンですが、「64式で戦ってみたい!」という人には、「これしかない!」と言いきれる電動ガンです。
●オマケ~7.62mmライフルのサイズ比較
編集部にあった7.62mmの電動ガンと並べてみました。
トリガーの位置でそろえて置いてみましたが、こうしてみるとやはりそこそこの大きさ。細身で軽量なのでそこまで「長い!」とは感じません。上の写真の通り、64式はストックの長さがポイントなんですね。
ついでに89式とも比較。
89式はノーマルじゃなくてすいません。
改めて並べてみると基本的なデザインは意外と似ていて、やはり「豊和のライフル」という印象があります。
普段からサバゲで89式を使っている人は、64式に持ち替えてもそれほど違和感なく使えると思いますよ。
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