◎陸上自衛隊立川駐屯地へいざ出陣!
12月某日。
さばなび編集部のアラサー女子2名は多摩都市モノレールの高松駅に降り立ちました。
なんと・・・・これから陸上自衛隊立川駐屯地の見学に向かうのです!!
制服萌え属性のある私たちにとってはまさにGO TO HEAVEN!!!・・・じゃなくて、自分の国の事なのに、自衛隊に関してはド素人!!しかも、仮にもミリタリーニュースをお伝えするメディアの人間としてこのままじゃいかん!!というわけで自衛隊駐屯地を見学しながら自衛隊について学んじゃおうという真面目な企画です。
画像出典:wikipedia( GNU Free Documentation License)
多摩都市モノレール高松駅から歩いて10分ほどで立川駐屯地の正門がみえてきました。
門には全身陸自迷彩に身を包んだ隊員が!サバゲーでは見慣れている陸自迷彩なんだけど、やっぱりオーラが違う(気がする)!!
「ちょ!!本物だ!!」
「ねね、カッコイイ!」
としょっぱなからテンションがあがる二人。一般人が普段は入れないところに入る緊張とあいまって、挙動不審な私たちを出迎えてくれたのは立川駐屯地広報室長。
「おはようございます。今日はよろしくお願いします。」
と丁寧に挨拶してくださいました。なんだか自衛隊の方って厳しそうなイメージがあったけど、全然そんな事はなく、ちょっと安心。
さらに!なんとカーキ色の自衛隊カーで敷地内を移動しながら案内してくれるというじゃありませんか!!
型は違いますが、これのもうちょっと乗用車っぽい車両でした。まさか動いている自衛隊車両に乗れるなんて思ってなかったので、年甲斐もなくはしゃぐ二人(笑)。
「はい、お二人ともこれをかぶってくださいね」
とヘルメットを手渡されます。
どうやら車両に乗る際にはヘルメットを着用する決まりのようです。私たちだけではなく、敷地内で見かけた車両に乗っている方もみんなヘルメットを着用していましたよ。
しかし、私たちだけ普通の服装にヘルメット・・・に、似合わない(笑)
◎駐屯地内にある色々なモノを見てみよう
まず向かったのは駐屯地の色々な施設がある区域。
こちらはだいたい部隊ごとに分かれている建物で、いわゆるオフィス棟のようなものでしょうか?
内部は学校のような作りになっていました。なんか懐かしい匂いがしました(笑)。
そもそも、自衛隊とは何ぞや、というところですがwikipediaによると
隊員が課業(業務)を行う場である以外に、各駐屯地司令が定める細則等に基づき営外居住を許可された者を除いた独身の陸曹以下にとっては生活の場である為、隊舎や日々の訓練を行う営庭(グラウンド)、体育館、射撃場、車両倉庫など以外に、営内舎(寮)、食堂、売店、医務室、浴場など生活に必要な施設が整備されている。
とありました。つまり仕事場兼若手隊員の生活の場所でもあるんですね。
ずぼらな私としては仕事場と生活の場所が同じ敷地内にあるのはかなり羨ましい〜
同じようなデザインの建物が並ぶ中、気になる扉を発見!
これって、床屋のアレですよね!? クルクル!(正式名称がわかんないので、ずっとそう呼んでますがどなたか正しい名前をしっていたら教えてください。)中に入ると、本当に理容室があった!!
「さわやか!」「欧米かぁ!」のPOPの下にある料金表には「丸刈りメニュー」(笑)
なんだかちょっとシュールですね。じわじわくる(笑)
他にも生活に必要なショップなどが並んでいましたよ。
こちらは駐屯地の皆様が利用するクリーニング屋さん。
メニューが専用のものになっています。迷彩服ののり付け有無も選べるのは自衛隊ならでは!
サバゲーマーの皆さんが一番気になるのがこちらではないでしょうか?いわゆるPX品と呼ばれる、自衛隊の皆さんの私物装備が購入できるショップです。制服などは支給されるそうですが、細かい装備などは私物を購入して使用することもあるとか。
鞄や雨具、パッチなど見慣れたミリタリーショップのような品揃えではありますが、全て陸自迷彩!(あたりまえですが)
ここで売っている品は朝霞駐屯地に併設されている自衛隊広報センターりっくんらんどのお土産ショップなどで一般の方も購入できるそうです。
この日は駐屯地の売店だけでなく、来訪販売の業者さんもお店を広げていました。
販売先は駐屯地のみで、残念ながら一般の方への販売は行っていないそうです。
おなじみのメーカーもありましたよ!メカニクスのマルチカムグローブ。
陸自の方もマルチカム身につけるんでしょうか!?
謎の説得力をもつ商品名「戦士のソックス」。「天使のブラ」を彷彿とさせるネーミングセンスです。蒸れなかったり丈夫だったりするのかな・・・・?企業戦士のサラリーマンにプレゼントしたらよろこばれるかも!?
お店は、日用品や装備だけでなくコンビニのような売店もあり、旅行代理店のパンフレットもあり、イメージとしては大学の購買部のような感じでしょうか。
なんだかすごそうな洗車のチラシまで貼られていました。
きっとみんなここでおやつを買ったり、小腹がすいたらおにぎりやおつまみを買ったり・・・ってさすがに酒は売ってない!!
酒好きな二人は駐屯地のアルコール事情が気になるので広報の方に「酒が飲みたくなったらどうするのか」という俗物的な質問をぶつけてみました(笑)
「基本的に自室ではアルコール摂取はできません。そのかわり、隊員クラブという施設があります。まぁ、普通に居酒屋ですね(笑)」
おおーーー!!!敷地内に居酒屋まであるとは!!
普通に街で良く見かけるお店の看板が!!
メニューは一般のお店とほぼ同じだそうですよ!!
隊員クラブは勤務外であれば自己判断でいつでも利用していいそうです。お酒が飲めない自衛官はいなかったんだ・・・・良かった良かった。
◎立川駐屯地の自衛官とお話してみよう
さて、時間はお昼時。食堂で昼食をとる駐屯地の方と交流させていただけることに!
食堂に入って少しすると、時間ぴったりに皆さんが集まってきました。
さすが、時間には正確!!順序よく並んで全員手を洗います。
この日はがっつり揚げ物メニューだったのに、マヨネーズの使用率が高かったのが印象的でした(笑)どうでもいいところをチェックしてすみません・・・・。
基本、どこに誰と座って食べてもいいそうですが、だいたい皆さん部隊毎に陣取るそうですよ。
楽しそうにランチしてらっしゃいました。
これだけ陸自迷彩着用の方が集まってご飯を食べる姿は圧巻!!
そしてかなりボリュームがある食事を食べているにもかかわらずぽっちゃりさんは皆無・・・それだけ皆さん普段訓練で身体を動かしてるってことですね。自分のワガママボディも自衛隊の訓練を体験したらどうにかなるかしら。
昼食中にもかかわらず私たちの相手をして下さったのは、佐藤さん(左)と、森下さん(右)。駐屯地では今日私たちを案内してくださった広報室長と同じく、広報業務を担当しているそうです。
若い方とお話する機会なんてそうそうないので、何を話していいか分からず、
「お二人は何歳ですか?」
とお姉さんがいるお店に来たおじさまのセオリーみたいな質問から入ってしまいました。
森下さんは入隊3年目、佐藤さんは入隊1年目だそうで・・・・っということはまだ成人していらっしゃらないガラスの十代!!!(古)それにしてもお二人ともお若いのに受け答えがかなりしっかりしています。
打ち解けようと、「佐藤さんは彼女いるんですか?」とか、「森下さんは女の子なのに男ばっかの中にいて大変じゃないですか?でもモテるでしょかわいいし!」とか答え難い質問をぶつけるも、快く大人な対応をしてくれる二人に、一番聞きたかった質問を聞いてみました。
「お二人は、どうして自衛隊になろうと思ったんですか?」
森下さんは、
「特に思い入れがあった訳ではないのですが、気づいたら自衛官になっていました。(笑)」
と話してくれました。
でも、漫画のライジングサンで読んだけど自衛官になるまでの教育隊ってかなり辛いらしいじゃないですか!しかも女の子が厳しい教官にしごかれながら25キロの荷物背負って山の中を何十キロも歩くとかそんな訓練をクリアしないといけないんですよ。気づいたらなれてるレベルじゃないです。
「女の子なのに、大変だと思う事ないんですか?」と聞いたところ
「うーん、特にないですけど、あるとしたら体力差。体力テストとかきついですね。男の人と同じように動かないといけませんから。」
って・・・え、女子も男子もカリキュラムというか訓練の内容一緒なの!?と驚いてしまった。「できなかったらどうなっちゃうの!?」と聞いたら笑顔で
「できるまで何度もトライするだけです。」
と・・・・。ヤバい、ヤバいぞ自衛隊。根性据わってる・・・・。
「大規模災害があった時に、テレビで自衛隊の活動をみていて。それでカッコイイと思って・・・。自分も人の助けになるような仕事に就きたいとおもったので、そういうことが出来る部隊を志願しました。」
とのこと。近頃の若者は、とか、ゆとり、とか、さとり、とか言われて久しいけど、キチンとビジョンをもって自分のやるべき道を進んでいる佐藤さんに関してはもう尊敬するしかない!
三十路もだいぶ過ぎてるのにぶれまくり根性なしな自分が恥ずかしく思えてくる・・・・。
◎立川駐屯地のお仕事を見てみよう
さて、引き続き外周5kmの立川駐屯地をまたまたカーキ色の車両に乗って移動します。
と、1,200mの滑走路がある立川飛行場が見えて来ました。おお〜〜〜!!でかい!広い!ここは陸自の航空機のほか隣接する警視庁や東京消防庁の航空機も利用しているそう。
ここはヘリの格納庫!
ヘリが沢山並んでる姿は圧巻ですね。
飛行場では丁度、離陸準備の作業中だったので少し近づいてみせて頂きましたよ。
UH-1Jという多用途ヘリコプター。人も荷物も運べる万能なヤツだそうです。
ここでふと気づく二人。
「ん?陸自の航空機?」
「陸自なのに空を飛ぶの?」
だって、空を飛ぶ=当然、航空自衛隊でしょ!という単純発想。陸上自衛隊、なんだから陸上で活動するんじゃないの・・・?
実は、陸・海・空は乗り物や活動場所分かれている訳ではなく、それぞれの任務の範囲だそうです。つまりそれぞれ、陸を守る、海を守る、空を守るってところですね。陸を守るのに必要があればヘリだって飛行機だって使うのです。
そんな陸を守る!陸自の中で立川駐屯地はどんなお仕事をしているのでしょうか?
立川駐屯地にはヘリコプターを保有する東部方面航空隊をはじめとする9個の部隊が駐屯し、大地震や災害などの発生時には、広域防災基地としても機能する、災害対応を主な任務とする駐屯地だそうです。
この日も、有事の際に即対応できるようにと訓練をしていましたよ。その隣では空中でヘリが停止!?していましたがこれも災害対応のためのホバリング技術向上訓練とのこと。即対応っていっても、自衛隊が動くのってなんやかんや手続きが必要なイメージがあったのでこんなことを聞いてみました。
「ヘリって、ゴーサインがでたらどれくらいで飛べるもんですか?」
「長野で震災があったときは、発生から30分でもう偵察用のヘリが離陸していました。私たちは勤務時間外にも待機勤務に(勤務ではないが声がかかったらすぐ出れる用意をして待機しておく)人員を置き、有事の際には即対応できるよういつでも準備しています。」
おお!予想以上に早い!
大規模な災害の時、偵察用のヘリは駐屯地の判断で離陸することができるそうです。映像伝送装置搭載ヘリをつかった被災状況偵察の内容は東部方面総監部がある朝霞駐屯地や防衛省、総理官邸に伝えられ、その情報をもとに災害派遣活動などの計画がたてられるというのだからかなり重大な任務ですね・・・・。
そのほか、被災者救助・怪我などを追った患者の搬送・物資空輸なども行うというのだから国民がピンチの時に直接関わる自衛隊の皆さんなのです。
そう考えると今まであまり縁のない世界だと思っていた自衛隊が身近な存在に思えて来ました。
ちなみにこちらは12月7日に行われたイベント、「立川防災マルシェ」で立川駐屯地航空野整備部隊の皆さんが、豚汁の炊き出し実演を行った時の様子です。
これ1台で、煮物、焼き物、揚げ物など様々な料理が1度に4~500人分できるそうなので、災害時には食料支援として実際に被災地で暖かいものを振る舞うなんてこともあるそう。
いつどんな災害が起こるかわかりませんから、お世話になる可能性がないとは言い切れません。
◎〜守りたい人がいる、陸上自衛隊〜
さて、話を駐屯地見学に戻しましょう。
引き続き飛行場を探索していると、カーキ系や迷彩色が多い自衛隊車両の中にひときわ目立つ真っ赤なボディを発見。
「これって駐屯地内で火事が起きたら出動するんですか?」
「そうですね。航空機の事故などにも備えています。それからそこにある1号車、その車両は福島の第一原発に放水した車両です。」
広報室長、さらっと言うけど、それってすごいことじゃないですか・・・・。
そして防衛省の公式動画を見たらマジだった・・・・・。
[youtube]https://www.youtube.com/watch?v=gWzPU5fgThA[/youtube]
自衛隊って何て人たちなんだ!?思わず矢継ぎ早に質問してしまう私たち。
「これ、誰が行くかってどうやって決めたんですか・・・?」
「まさかくじ引きとか?!」
「お前行けよ!やだよ!じゃー俺が!どうぞどうぞ!みたいなダチョウ倶楽部状態にならないんですか!?」
「誰も行きたくないですよね?・・・・だって、どうなるかわからないのに。」
「ちょっと今日は実際に任務にあたった隊員が非番でいないから聞けないけど、くじ引きじゃないと思いますよ(笑)そのときたまたま、任務についていて、行ける地域にいた、ということかと。危ない事は基本やらないけど、やるしかない時はありますからね。自分たちがやらなかったら後がないから。」
さも、それが普通という口ぶり。
そういえば、今日会った自衛官の皆さんに共通することは、「精悍」ってこういうことを言うんだろうなというピシっとした雰囲気。そして、任務遂行に対する温度感が、全員一定なんだろうな、と思わせる連帯感。最後に広報室長はこんな事を教えてくれました。
「自衛隊の教育では徹底的に”命令と服従”を叩き込まれます。もちろん、意見をいうなとか、そういうことではなく、命令されるまではいろんな意見や反対意見を言ってもいいんです。ただし、命令を出す立場の人が一旦出した命令については、全員なにがあっても服従する。そうしないと、命に関わる場合もありますから。そして、自衛隊は有事の際の最後の砦だと思っています。最後は自分たちしかいないという意識がみんなにある。それが連帯感みたいなものに見えるのではないでしょうかね。」
ちょっと泣きそうになりました。感動とも違う、複雑な感情。
特撮戦隊ヒーローものじゃないのに言ってる事が特撮戦隊ヒーローもののレッドレベルです。
ああ、この人たちは背負っているものが違う!!というカルチャーショックとでもいうのでしょうか。
これまで漠然と自衛隊カッコイイ〜とか、陸自迷彩萌え〜とか言っていた私たちですが、きちんと活動内容を知るとこりゃ今後立川方面に足を向けて寝られないぞ、と気が引きしまります。
取材日当日の朝、「イケメンいるかな」とか低レベルな会話をしていた自分たちをグーで殴ってやりたい。
〜守りたい人がいる、陸上自衛隊〜
その陸上自衛隊のキャッチコピーは誇張でもなんでもなく、日々任務にあたる自衛隊のみなさんが根底に持っているモノなんだなぁ、と実感せざるを得ない濃い時間を過ごし、私たちは帰路につきました。
あまりにも自衛隊がかっこ良くて、後日会社で「さばなび編集部もこれからは命令と服従にしよう!!」と提案したら「メディアでそれやったらダメだろ。感化されすぎ。だいたいお前はそんなことを言う前にだな・・・」と勤務態度についての説教が始まったのは内緒です。
取材協力:陸上自衛隊 立川駐屯地 広報班
HP:http://www.mod.go.jp/gsdf/eae/eaavn/index.html