腹が減っては戦はできぬ/An army marches on its stomach.
ーお腹がすいている状態では十分に動くことができない。もちろんサバゲーもできない。勝負をかけるときにはまずは腹ごしらえが大事。
それもこれも発端は深夜のテンションで行われた企画会議での会話。
「あ〜お腹すいた。なんか食いたいっす」
「こんな時間に食べたら太るよ」
「手元に米軍のレーションががが」
「この時間にアメリカ食1200kcalは自殺行為でしょwwwせめて国産にしなよ」
「自衛隊の戦闘糧食なんか持ってないっす。っていうか自衛隊って戦闘糧食以外は普段何食ってんだろ」
「ちゃんこ鍋?」
「それ力士。自衛隊は別に体重増やさなくていいはずw」
「じゃーあれじゃない!飯ごうすいさん!あとカレー」
「多分毎日野外で自炊とかしてないし小学生のキャンプ色強過ぎっすw」
「え〜じゃーなに食べてるのか見に行こうよ。国民の為に一生懸命体力勝負の仕事してるんだもん。身体作りに食事は大事だよね〜。」
「確かに気になる!だめ元で取材依頼かけますか!!」
そんな会話から数日、陸上自衛隊広報との交渉の結果、めでたく取材許可がでたのでやってきました陸上自衛隊立川駐屯地!!
駐屯地の中を色々見学させて頂いた後、食堂へ案内してもらいます。
*駐屯地の様子は別途特集記事でお届けします!
食堂は、2カ所あり、こっちが偉い人がお食事する幹部食堂。
こっちは自衛官の皆さんがお食事するところ。幹部食堂も曹士食堂もキレイでお花なんか飾られちゃってて、爽やか〜な雰囲気。
さてさて、今日私たちの「自衛隊がどんなもの食べてるか見せてください」という果たして自衛隊の広報に役立つのかどうかもよくわからないお願いに快く対応してくれたのは立川駐屯地糧食班長の星野さん。
まずは災害派遣時などに野外で食べる戦闘糧食Ⅱ型を見せてくれました!
レトルトパックになっていて、味は世界的にみてもおいしいそうですよ〜
野外でこれを食べる際は、加熱材を利用するか、移動炊事車で袋ごと湯煎にするそう。
この大きな調理器が据え置きになっている車両が野外炊具1号。もくもくしててハウルの動く城感さえ漂うこちらの1号君ですが、移動しながらのお料理も可能な出来るヤツ。
でも自走はできないので大型トラックに引っ張ってもらいます。
こんな感じで中敷きがあり、1基で100食の戦闘糧食を調理する事が可能な調理器が6台搭載されています。
肉団子の他にもメニューがあり、1食は1000kcal程度。
残念ながら一般人への提供は行っていないそうです。おいしいって聞いちゃったからには食べてみたかったけど大事な自衛官の皆さんの戦闘糧食ですからね!
いよいよ本題、自衛隊食堂のメニューをみせてもらいましょう〜〜!!
まずはこちらが朝食。
・・・・・朝から半端ない量!!!
そんでもって彩りが奇麗!見た目って食欲に直結しますよね。
朝ご飯を食べてこなかった筆者はこの時点で空腹MAX。
栄養士の女性が実際の献立をみせながら色々説明してくれましたよ。
「食事も、駐屯地毎に個性があり、立川駐屯地では家庭の味をテーマに試行錯誤をしているんですよ。レストランで食事をしているような気分をあじわってもらうため、食堂の内容や装飾なども、季節にあわせて色々工夫しています。特色といえば、パンは他(の駐屯地)ではあまりでないかもしれませんね。」
結構な人数の男子率が多いところの食事とは思えない!手が込んでますね〜。
立川駐屯地では毎日200〜250人分の食事を朝の4時から仕込んでいるそうです。大変だ・・・・。
かなり量はありますが、これは全部食べなきゃいけない、ってわけじゃないそう。
例えば朝食はパンのみ、ごはんのみでもOK。食事の量は全て自己管理。栄養指導もしているのでその知識をもとに自分で判断するそうですよ。
自衛隊は、自分の栄養のことも自分で管理判断できなきゃいけないってわけですね!
それにしても自衛隊の1日の総摂取カロリーは3200kcal。一般成人の摂取目安が1800~2200ということを考えるとかなり多め。3200kcalって、どんなもんかっていうとですね、例えば
朝ご飯。マクドナルドのビッグブレックファストデラックス(934kcal)
昼ご飯。吉野家の牛丼大盛り。(929kcal)
夜ご飯。ガッツリマシマシ系ラーメン汁まで。(約1200kcal)*見積もりです
ふおー!!こんな食生活してたら死んじゃう!!(笑)
3200kcalをただ摂取するだけなら案外行けそうな気がしますが、それじゃ任務はこなせません。任務をこなすまえに成人病になります。
大事なのは、3200kcalをどうやって取るか?ってところです。栄養士さん曰く、
「ただカロリーを多くすれば良いなら揚げ物や甘いものを多めにだせばいいけどもちろんそれではダメ。限られた予算の中で、ビタミンやカルシウムをバランスよくとりながらの3200kcalというのはなかなか難しいんですよ。旬の食材も考えながら皆さんがなるべく残さずたべてくれる工夫をしている。」
とのこと。そして今日こちらが実際に食べる昼食。
うわぁぁぁ普通に超おいしそう!!!
メニューは
・とりおこわ
・手作りコロッケ
・マカロニチーズサラダ
・かぼちゃとニラのお味噌汁
・漬け物
・牛乳
・みかん
でしめて1350kcal。これがマックの大盛り朝ご飯よりカロリーが高いようには見えない!
ちなみに自衛隊では食事メニューにももちろん規則と予算があり、その範疇で献立をかんがえなければならないそうですよ。栄養士が約2ヶ月前に1ヶ月分の献立を考えるそうなのですがこれがまた結構大変なようです。
もちろん、来客時や、退職する方との懇親会などがあっても予算があるからそこだけ特別なメニューをだすことはできないそうです。
そういった場合は食器を変えたり、和紙を使ったり、切り方を工夫したりしてメニュー内容は一緒でも”特別感”を出す工夫をしているというのだから頭が下がります。
一件豪華そうにみえるが比較してみると内容は全く一緒!!いや〜器とか盛りつけって大事ですね。
他にも、決められた予算の中でクリスマスにはバイキング形式のメニューを用意したり、お正月にはお正月らしいものを出したり、31日大晦日には年越しそばを用意したり!
とここまできいて食いしん坊の筆者は気になる質問を。
「おやつはあるんですか?」
おやつは出していないけど夜間特別勤務の自衛官には増加食といって栄養補助食品やゼリー飲料、果物などといった軽食を用意しているそうです。ちょっと苦笑いされた気がするのは気のせいでしょうか・・・・(笑)
またこのゼリー飲料は、有事の際に戦闘糧食ばかりだとビタミン不足になるのでそれを補う意味でもいつでもだせるようにストックしてあるとのこと。
自衛隊の食事情がわかったところでいよいよ自衛隊のごはんを実食!!
直径10センチほどもある大判コロッケ !
カラッときつね色に揚がった中身はお肉とジャガイモのバランスが良く
ジャガイモの食感も程よく残っていて手作りだからこそのホッと安心できるお味。
乙な味のマカロニチーズサラダ !
健康も考えてマヨネーズは少なめ、だけどチーズのコクとピリッときいた玉ねぎのスライスが
食感にもアクセントになっていて絶妙な一品。
具だくさん鶏おこわ !
モチモチに蒸しあがったもち米に鶏肉の旨味が染み渡る。
人参、ごぼう、こんにゃくと具だくさんで思わずお代わりしたくなる一品。
ニラとかぼちゃのお味噌汁も250人分を大量に作っているとは思えない上品さで、シンプルだからこそ食堂の方々の丁寧さと隊員の方々への思いが伝わった気がしました。
そして量はやっぱりかなり多い!少なめによそったつもりだった筆者ですが、アラサーの胃にいきなり3200kcalは無理でした・・・ 一生懸命食べましたが完食はできず、泣く泣く牛乳とみかんを鞄にいれ1/4のこってしまったコロッケに別れを告げるのでした。
この場を借りてお詫び申し上げます。糧食班の皆様ごはん残して申し訳ございません!!!
でも、このあと自衛隊駐屯地で食べたコロッケと似た味を求めて自分の中でコロッケブームが到来する事態になるほど本当においしかった!
今年和食がユネスコの無形文化遺産に選ばれました。寿司、てんぷらなどなど日本料理は素晴らしい!!でも、今回改めて思ったのは「食べる人を思いやりながら料理をつくる。」その食文化こそ日本の食のいいところではないでしょうか。
それではさばなびグルメ部的評価とまとめいってみましょう!
★5つが最高得点です。そしてこの評価はライターの独断と偏見と食の好みに左右されるので参考程度にどうぞ!
味:★★★★★
コスト:★
話題性:★★★★★
ネタ度:★★★★★
【総評】
・想像していたメニューとは全然違っていた。いい意味で期待を裏切られた。
・健康はもちろん彩り、味のバランスまでしっかり考えられていた。
・隊員に人気のメニュー、バッカン茶碗蒸し(でっかい茶碗蒸し)、立川駐屯地カレー(毎回具が違い、トッピングなどもあるそう)も食べてみたい !
・クリスマス、お正月とイベント、四季折々の食材も大事にされていた。
・隊員の皆さんがご飯を美味しそうに掻き込む姿にアラサーは萌えた。よく食べる男って素敵。
さて、駐屯地の様子が気になった皆様、駐屯地では施設及び航空機の見学ができますよ。
*希望の方は事前申し込みが必要です。
お問い合わせ・お申込み先
陸上自衛隊 立川駐屯地 広報班
電話:042-524-9321内線:218(FAX兼)・219
HP:http://www.mod.go.jp/gsdf/eae/eaavn/index.html