今回のエアガンレビューは、エアガンメーカーの製品ではありません。香港の大手エアガンショップRed Wolf Airsoftオリジナルの製品です。
モノは電動ガンの「MG34 AEG」。
現地価格で1,480USドル(約167,300円)もする高級中華ガンです。
MG34はWW2ドイツ軍が使用した世界初の多用途機関銃で、開発はラインメタル/マウザー社。電動ガン化は初かもしれません(かつてアサヒのガスガンはありました)。改良発展型のMG42はいくつかモデルアップされていますが、MG34はちょっとレアなのです。
バレルジャケットも機関部もMG42よりスマート。今でもファンは多いですね。
そんなMG34の電動ガンということで、どうしても期待してしまいますが、そのデキはどんなものなのでしょうか。
今回は高額な電動ガンをムリして買ったので、ちょっとネチっこくリポートしてみます。
◎全景
細身の空冷バレルジャケットにサイドドラムマガジン(実際は単なるベルトリンクのケース)、細身の機関部などがよく再現されています。もっとも、実銃のMG34は博物館などでもあまり見かけない気がする(MG42はよくある)ので、当時の写真くらいしか比較するものがありません。
というわけで、「これはどう見てもMG34だよ!」とゴリ押しが可能です。
全長は1.2mもあるので細身とはいえかなり迫力があります。
一般的なM4カービンと並べるとこの通り。約1.5倍の長さです。単純に1.2mといえばFALくらいの長さですね。ボリュームははるかにありますが。
あぁ、こう見るとナ◯シカのボルトアクションライフルに似てる気もします。
◎RWA MG34 AEGのスペック
全長:1.240mm
重さ:7.4kg(バッテリー含まず)
アウターバレル:630mm
インナーバレル:600mm
装弾数:約1,500発(電動ドラムマガジン)
バッテリー:機関部に収納(付属は11.1VのPEQ用リポ)
価格:1,480USドル(香港での現地価格)
初速:83m/s(0.2g弾の場合)
サイクル:15発/秒(付属の11.1Vバッテリーの場合)
◎各部紹介
マズル部
ラッパ型のハイダー部はMG42では「マズルブースター」と呼ばれますが、MG34でもそうなのでしょうか。アルミ削り出しでよくできています。
ただ、銃口断面がちょっと肉厚なのが残念。ここはシャープにして欲しかったところです。
バイポッド
バレルマウントのバイポッドはスチール製。上側に回転させるとスポッと外せます。
ただし、鋼鉄ではなく軟鉄なので、特にたたんだ時にバレルに引っかけるフック部の耐久性に不安が残りました。
実銃には開き具合を調節するネジがセンターにありますが、見ての通り開きっぱなしで調整はできません。
マズル付近だけでなく、機関部直前の位置にも装着できます。
回転+左右スイングで自由に動くので、拠点防御の時はこのポジションの方が使いやすいと思います。なお、この位置は車載用のマウントらしいです。
折りたたみ時はバレルジャケット中程にある突起で留めます。
固定を外すとバネで広がって、なおかつプランプランするのは実銃通りです。
バレルジャケット
MG34の大きな外観的特徴を占めるバレルジャケット。
実銃は単なるパンチングメタルではなく、このカタチに切削された部品だったとか。そりゃ生産性悪いはずです。
で、このMG34ではここが肉厚のアルミ製。断面を見ると厚さが4mmくらいあります。うーむ、薄いスチール製だったらもっと軽く、シャープになったのに・・・と思えてなりません。
パッと見は質感も高く、(それなりに)丈夫でいいんですけどね。
追記:記事作成後に無可動実銃を見る機会がありましたが、実銃のバレルジャケットは厚さが2.5~3mmくらいありました。というわけで、この厚く見えるバレルジャケットはそれほど間違っていないようです。
バレル回転基部
実銃はバレル横のヒンジで(リボルバーランチャーのように)グルっと回転してバレル交換ができます。
エアガンではその機構はなく、単なるダミーなのは仕方ないところ。
リアサイト
折りたたみ式で調整可能ですが、単なるVノッチというところと、2,000mまでの目盛に時代を感じますね。折りたたみも調整もスムーズでよく動きます。
機関部
こちらが分から見るとメカボックスの上端が丸見えなのがちょっと残念。ただ、アルミ製のボディやスチール製フィードカバーの質感はナカナカのもの。
メカボックスはダミーのベルトリンクを付けて隠しておきたいですね。MG34/42用のベルトリンクは射撃後にバラバラにならず、つながった状態で横から垂れ下がります。
機関部(下面)
ダミーですがエジェクションポートもしっかりあります。実銃ではここからナナメ前に排莢されるのです。
しかしこの角度から見ると機関部は本当にスリムです。
フィードカバー
後端のストッパーをズラしてオープン。
ここを開けると・・・
メカボックスとバッテリースペースになっています。
バッテリーはPEQ用サイズの11.1Vリポが同梱されていました。内部調整をした上での仕上がりを考えると、できれば7.4Vバッテリーでの運用をオススメします(後述)。
配線は2Pコネクタ仕様ですが、うまく収めるには配線の取り回しを工夫しましょう。
無理やり押し込むと断線やショートの可能性があります!
給弾部
ドラムマガジンから送られたBB弾はここに入ります。
そしてここがHOPチャンバーで、写真のイモネジがHOP調整用。必ずネジロックを塗って運用しましょう。
トリガー+グリップ
グリップはスチール製のフレームに樹脂製(ベークライトではなくABS)のパネルというもの。トリガーは実銃では上側がセミオート、下側がフルオートというセレクティブタイプですが、電動ガンで使うのは下側だけ。
トリガーセフティがついたフルオートになり、セミオート発射機能はありません。
コッキングハンドル
完全にダミーですが、一応引くことが可能。
ゲーム開始時にチャキーン!とコッキングして周囲にヤル気をアピールできます。
ドラムマガジン(ベルトリンクケース)
電動巻き上げ+自動送りの多弾数ドラムマガジンが標準で付属します。
ハンドルを起こして後部のフタを開けると・・・
上部に約1,500発のBB弾が入り、下部はセンサー連動のモーターユニットが収まっています。なお、電源としてここに006P形乾電池(9V電池)が必要。
また、このマガジンのスイッチもここにあるので、保管時は忘れずにOFFにしておきましょう。インジケーターLEDがあるのでONのまま放置するとすぐ電池がカラになります。
ドラムマガジンの装着はこの通り。
マガジン自体は前端を引っかけて後部でロックするだけ。
ただし、給弾パイプ(差し込んでイモネジで固定)と信号線(マイクロ端子)をつなぐ必要があります。
なお、ドラムマガシンと接するフィードランプ部は軟鉄でよく曲がります。「2」のロックがかからないようなら、この部分を指でグッと曲げてぴったりハマるようにしましょう。
ストック
リアルウッドのバットストックは非常にいいデキ。機関部にくるくるとねじ込んで固定します。
これは後端までウッドのバージョンですが、実銃ではスチールプレート付きやベークライト製もありました。
◎分解と調整
今回のサンプルでは購入して手元に届いた段階で、初速(83m/s)もサイクル(15発/秒)も特に問題ありませんでした(ややギアノイズが気になるくらい)。
とはいえ、せっかくなので分解してみました!
まずはグリップ前後のマイナスネジを外します。
後ろ側の「2」は左右にネジがありますが、とりあえずコッチ側だけでOK。
次にフィードカバーを開けて前後のネジを外しましょう。
「1」を外すとフィードランプが取れます。
「2」の2本のネジを取るとメカボックス+グリップがフリーになるので、配線に注意して斜め後方へ引き下げます。これでズポッと取り出せます。
ここからグリップパネルを外して、その下にある左右2本ずつのプラスネジを外せばメカボックスが登場!
見た目はver.7のメカボックスみたいですね。トリガーは配線の先にあるマイクロスイッチで、シリンダーとピストンは標準サイズでした。
モーターマウントまで一体のver.7改という印象。
後部のピンを抜けばスプリングガイドが抜けるので初速調整に便利です。
付属のスプリングはM80程度の弱めのもの。
そして気になるメカボックス内部は!
硬いグリスがコテコテに付いていたので即洗浄! シリンダー内部もこのグリスが塗られていたので大きな抵抗になっています。特に寒い時期は注意(写真は洗浄前)。
ちなみにシリンダーはフルサイズで、セクターギアに当たらないよう後端下部が切り取られていました。流用を考えているはご注意を。
ギアはSHS製。「7#」ってどのスピードのものなのでしょうか?
というわけで、ギアとシリンダー、いやメカボックス内部は徹底的に洗浄してからの再グリスアップが必須。デフォルトのままで11.1V運用だとピスクラするかもしれません。
また、シムもかなりキツめなのでこれも要調整ですね。
ただし、モーター位置の調整ができないメカボなので、ピニオンギアとベベルギアをまず調整して、それからスパー→セクターと順に合わせていきましょう。
どうしてもモーター位置をずらしたい時は、モーターのピニオンギアをズラすしかありません。
今回行った調整は・・・
・各ベアリングを瞬着で固定
・シムを再調整
・ピストンを全金属歯タイプに交換
・モーターのピニオンをずらす(奥に0.5mm)
・再グリスアップ
です。
余裕があればモーターを東京マルイの1000S(ショートタイプ)に交換すると燃費やサイクルが向上するはずです。また、モーター配線はハンダ付けなので端子化しておくと今後の利便性がアップするかも。
メカボ自体は歪みもなく精度も高い強化タイプなので、しっかり調整すればほぼメンテナンスフリーで撃ちまくれそうです。
チャンバーまわりは及第点のデキ。
写真のアルミ製のパーツがHOPチャンバーで気密性は◎。
HOPパッキンは柔らかく突起が二股タイプでこれも◎。
そしてインナーバレルは脅威の600mm! M80くらいのスプリングじゃないと初速オーバーの危険があります。注意して下さい。
とはいえ、本体剛性の高さもあって、命中精度は期待できそうです。
というわけで。
今回の調整によって、初速は88m/s、サイクルは付属の11.1Vリポを使用した場合、約20発/秒まで向上しました。ただ、これだと回転が速すぎるので、7.4Vリポを入れて15発/秒前後の回転で使った方がいいと思います。実銃もそれくらいのサイクルですし。
デフォルトで気になっていたギアノイズもほぼ解消でき、マシンガンならではの運用で撃ちまくれるようになりました。
◎実射テストと運用について
全長は125cm、重さは7.4kg。いくら細身とはいえ非常にかさばります。
基本的にバイポッドを使って伏射で運用するものなので、よほど恵まれた体格でない限り立射はできません。
はっきりいってこれ ↑ は、成人男性でもほぼ無理かと。いや、一瞬ならできても、これで1日ゲームするのは困難です。
実銃は11~12kgもあるのでもっと大変でしょうけど。
というわけで、バイポッドを使用したグルーピングです。
セミオートができないのでフルオートになり、結果的にやや散ってしまいました。
しかし、屋外で撃つとこの評価が一変! 30m以上先の遠距離でもあまり散らずにスーッと集弾するのです!
これは柔らかいHOPパッキンと600mmのインナーバレルのおかげでしょうか。
はっきりいって「狙えるマシンガン」です。
ショートバーストで的確に撃ち込んでくるLMG・・・サバゲで相手にしたらとてもいやらしいですねw
◎まとめ
冒頭でも述べましたが、MG34の電動ガンは(たぶん)これだけ。MG34が欲しい人はこのRWA製を選ぶしかありません。
外観は若干マイナスポイントがありますが、電動ガンとしてサバゲで使うのなら性能は問題ありません。基本構造からしてよくできています(若干の再調整は必要)。
確かに現地価格で17万円、国内流通価格なら20万円オーバーと高額ですが、フィールドでもめったに見かけないMG34なので注目度はバツグンです。
サバゲで使う場合、WW2ドイツ装備の人はもちろん、中南米あたりの設定なら民間装備も似合うかもしれません(?)。
あるいは単純に「装備にこだわらずMG34が好きだから欲しい!」という人、紅い眼鏡やマルセイユ好きな人は、一考する価値あると思います。
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