さて今週も、『心に残った銃撃名場面ベストテン』をお送りしたいと思います。
ちなみに前回説明し忘れましたが、こちらのランキングはハリウッド映画から10本を抜粋しただけですので、本来ならば『男たちの挽歌』など入れたい作品は当然あります・・・が、あえて考えて考え抜いた末に、ド派手なハリウッド映画に絞り込ませていただきました。
そして今回紹介する9位に入れた作品は1984年に製作された『ターミネーター』。
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レーザーサイトを知ったのは(見たのは)本作が初めてだったから、当時は少年心にあの映像の衝撃が深く刻まれたのでした。
最近では米軍などで標準装備になるほど一般的になったレーザーデバイスですが、本作劇中で観た時は「映画だけのオリジナルなプロップガン?」と思ったものです。しかし、まだ普及していなかっただけで、監督のジェームズ・キャメロンは先見性を持っていたわけですね。
そんな『ターミネーター』からの名場面は、リンダ・ハミルトン演ずるサラ・コナーを発見し、AMTハードボーラーに装着したレーザーサイトからの赤いレーザーが照射する瞬間。この時の緊張感は今観ても最大の萌えポイントです。
イラスト:やまもとわかな
そしてマイケル・ビーンが演じたカイル・リースが飛び込んできて、店内でターミネーターことアーノルド・シュワルツェネッガーと派手なドンパチが繰り広げるという流れはヒロイズムも溢れまくり、色褪せないシーンかなと。
監督のジェームズ・キャメロンが銃器マニアであるため、『ターミネーター』以外の作品でも劇中に登場する銃火器に対するこだわりは大変強く、撮影用プロップガンが決定するまで揃えなくてはならない銃の数は通常のアクション映画と比較すると3~4倍だったとか。
また、シュワルツェネッガーはオーストリアでの徴兵時は戦車兵だったので、携帯火器の訓練は受けていたもののあまり手慣れてなく、『ターミネーター』で銃を取り扱うようになって肉体の強靭さとパワーを活かして、ダイナミックな銃撃アクションを体得していったそうです。
というわけで『ターミネーター』で射撃時に瞬きしているのはまだ慣れていなかったためなのです。本当はサイボーグだから瞬きはNGだったんですけどね。
ちなみに、『ターミネーター』の原題は『The Terminator』ですが、続編以降は『Terminator 2』と頭の「The」がなくなっているのに気がついた方はどれぐらいいるでしょうか?
80年代に映画への投資を行なっていたグリーンバーグ・ブラザース社は、『ターミネーター』と翌85年の『バタリアン』へ出資して荒稼ぎしたことでハリウッドの関係者筋では有名ですが、グリーンバーグは儲けたお金で『ターミネーター』の権利を製作スタジオから買い上げたのです。
今作のヒットによりスグに続編へ取り掛かりたかったキャメロン監督でしたが、続編の製作権はグリーンバーグへ持って行かれてしまい、自分自身の頭の中にある構想を具現化するには難しくなったとか。つまりモメたわけですね。
そこで1985年の『ランボー 怒りの脱出』で共同脚本を担当した際、同作品のプロデューサー・マリオ・カサールへ相談したところ、日本でバブル期にレーザーディスクソフトで大繁盛したパイオニアLDC(現在は解散)に話を持って行き、大口出資元として参加が決定。「The」を抜かした形でグリーンバーグと袂を別れた『ターミネーター2』が作られるようになったのです。
「Terminator」は一般単語なので商標登録できず、「The Terminator」はオライオンやグリーンバーグによって登録されていたこともあり、それ以降のナンバリングでは一切「The」が付かなくなった・・・というどうでもいい無駄知識が『ターミネーター』にはあるのです。
ジャンクハンター吉田
http://www.junkhunteryoshida.com/
書籍『ゲームになった映画たち』シリーズの著者であり、ゲーム・映画のコラムニスト扱いされている肥満児(非卍)かつ、体を張ったフリーのジャーナリスト。リブート版新生『ロボコップ』Blu-ray&DVD発売中。殉職したらロボコップ計画へ自分の身体をドナーとして全て提供するつもりな今年44歳のダメ人間。
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