毎年1月に陸上自衛隊習志野演習場で行われている「降下訓練始め」。
今回は、その降下訓練の画像を元に、陸上自衛隊第1空挺団のすごさを、
元航空自衛官の綾部綾さんにレポートしてもらいました!
第1回では、空挺降下について解説しましたが、第2回は匠ともいえる着地について解説しましょう!
--------------------------------
■ 航空機によって変わる体感スピード
C-130やC-1などの輸送機から降下する時と、
ヘリから降下する時では体感スピードが全く変わります。
なぜなら、横方向の速度が違うから。
輸送機からの降下は、斜め下方向にふんわりと飛び出している感じがしませんか?
実際は、ふんわりなんてもんじゃないらしいのですが……
一方、低速で飛行するヘリからの降下は、飛び出した瞬間、真下にむかって一直線!
その感覚は、まさしく「落ちてるぅー!」というものだそう。
ちなみにこのヘリからの降下、
タイミングを失って後ろの団員から突き飛ばされてしまった場合、
ヘリの脚部分で身体を強打して痛い思いをすることもあるのだとか。
■ 着地は必ず足をそろえて!
空挺団員が最初に訓練するのは、屋内での着地。
足の裏→膝→臀部→背中→肩という順番に着地する、五点着地という方法を取ります。
ここで一番大事なのは、両方の足の裏を必ず揃えて着地すること。
片足だけ先に地面に触れてしまうと、衝撃でケガをしてしまうんです。
そして前方に膝をつき、後方に転がって、落下のエネルギーを分散させます。
転んでるんじゃないんですよ!
↑ こちらの、荷物とともに着地した団員をご覧ください。
五点着地を美しくキメているのがおわかりになりますでしょうか。
衝撃はというと、「2階から飛び降りた程度」らしいのですが……
普通の人は2階から飛び降りないので、どんな衝撃かわかりません!(笑)
■ 着地したあと、落下傘はどうするの?
この696M1、重量がなんと15kg! すぐさま自分で畳みます。
それは、着地後すぐにハンカチの真中をつまむような状態で引っ張り、
そのあと8の字のようにクルリとねじる「野外巻き」という簡易的な畳み方。
後ほどきちんと梱包しなおすのは、落下傘整備中隊という専門部隊です。
ひとつ畳みなおすのに15分くらいかかるんだそう。
もし穴が開いていたら、つぎを当てて使います。
ここまででご紹介したのは696M1という金色の落下傘。
しかし、スーパーエリートの空挺団員、
そのさらなる精鋭だけが使うことを許される、白銀のパラシュートがあるのです!
第3回【003/きみはFFバッジを知っているか】へ続く
(文/綾部綾)
(写真/永野勝)
FB:http://www.facebook.com/ayabex
[amazonjs asin=”B00G0N9YTY” locale=”JP” title=”ミリタリーパッチ US パラシューター P2196″]